NPO法人クリーンオーシャンアンサンブルの新たな挑戦
海洋ごみ問題は、私たちの生活に直結した深刻な課題です。特に日本では、海洋に流れ込むごみの約80%が河川を介して陸域から発生しています。この状況を改善するために、香川県小豆郡小豆島町に拠点を置くNPO法人クリーンオーシャンアンサンブルが新たな挑戦を始めました。
2025年8月9日から13日までの5日間、香川県高松市の詰田川で実施された第3回河川ごみ回収実証実験では、改良型河川ごみ回収装置「kawasemi002」を初めて導入し、これまでにない成功を収めました。
改良型「kawasemi002」の導入
今回の実証実験では、装置の設計に大幅な改良が施され、回収効率が飛躍的に向上しました。特に、回収ポケットの入り口のサイズ変更や固定方法の最適化により、1日に最大9kgのごみを回収可能となり、総計22.10kgの河川ごみを集めました。
この成果は前回実験の19.55kgを13%上回る過去最高の結果です。回収されたごみの種類には、「ペットボトル」「空き缶」「レジ袋」「発泡スチロール片」など生活に関わるものが多く含まれ、河川を通じて海洋に流出するごみの実態を再確認させるものでした。
河川ごみの現状
日本の河川は、都市から海へ向けて多くのごみを運ぶ通路となっています。年間2万から6万トンのプラスチックごみが海に流出するとされ、その約70〜80%が河川から来ています。これにより、海洋生態系への影響だけでなく、漁業や観光業などにも深刻な打撃を与えています。
クリーンオーシャンアンサンブルでは、この問題を解決するため、河川でごみを回収する装置「kawasemi」シリーズの開発と実証実験を推進しています。今回の実験結果も、その目的達成に向けた一歩といえるでしょう。
海洋ごみマップで成果を共有
集められたごみの成果は、団体が運営する「海洋ごみマップ」に公開されています。利用者は、マップを通じてどの地域でどれだけのごみが回収されたかを簡単に確認することができます。実証実験のデータは「No.883」で検索可能です。このような透明性を持たせることで、環境問題への認識を高め、コミュニティにおける行動を促す狙いがあります。
今後の展望
今回の実証実験から得られたデータは、今後の装置改良に役立つ重要な情報となります。次回の実験は2025年10月に予定されており、さらに進化した装置による回収が期待されています。また、今後は回収したごみの種類や季節ごとの流出量を分析し、より効果的な回収システムの開発を続けていく方針です。
調査チームのリーダーである石山翔午氏は、実験を支援している地域の人々や協力者に感謝の意を表しつつ、根本的な問題解決に向けた探求の重要性を強調しています。単なる回収ではなく、流出の原因やごみの種類を明確にすることが、持続可能な解決への道であると信じています。
参加を呼びかける
クリーンオーシャンアンサンブルは、海洋ごみゼロを目指した取り組みを強化するため、さらなる仲間の参加を求めています。寄付や協賛、ボランティアとしての協力に関心がある方は、公式サイトを訪れて参加方法を確認してみてください。現場での活動に参加することで、環境問題への意識を高め、共に未来を変えていく力になります。
私たちは、一日も早く海洋ごみゼロを実現するため、引き続き努力してまいります。