NTTがサブテラヘルツ帯で毎秒2テラビットの無線伝送に成功
2023年、NTT株式会社が発表した革新的な技術は、サブテラヘルツ帯(100~300GHz)で世界最高速の無線通信を実現しました。この技術によって、毎秒2テラビット(2Tbit/s)のデータを100メートルの距離で無線伝送することが可能になりました。
1. 技術の進展と背景
近年、AI技術の急速な進展や、IOWN/6G時代に向けた通信インフラの高度化に伴い、データ転送の需要は急増しています。特に、AIデータセンタ内や無線基地局ネットワークにおけるデータの大容量化が急務となっています。このような状況の中、次世代の800G/1.6T光通信技術への移行が期待されていますが、無線通信技術も同じく適応が求められています。
NTTは、未開拓のサブテラヘルツ帯を使用し、電波の軌道角運動量(OAM)を利用することによって、空間多重伝送技術の研究を進めてきました。これにより、データの伝送速度を大幅に向上させることに成功したのです。
2. OAM-MIMO多重伝送方式の実現
本技術の核心は「OAM-MIMO多重伝送方式」にあります。従来の多重伝送技術では、デジタル処理に多くのリソースを要しましたが、この新方式では、アナログ信号処理を利用することで、処理遅延を大幅に削減することができました。また、この方式により、消費電力の効率も格段に向上しました。
具体的には、OAMモードの信号を効率的に多重化し、デジタル信号は各モード内のみに適用することで、演算負荷を抑えることができました。これにより、AIデータセンタ内の分散コンピューティングや、移動通信システムなど、様々な分野で応用が期待されています。
3. 技術のポイント
新たに確立された技術群には、以下の3つがあります。
- - Multi-UCA型Butler matrix導波回路技術:アナログ信号処理を用いてOAMモードの多重・分離を実現。
- - イメージングリフレクタ技術:高利得化を図り、長距離通信を可能にする技術。
- - 軸ずれ補正技術:アンテナ間の精密な調整を行い、通信品質を確保します。
これらの技術が相まって、NTTは実用距離での超高速無線伝送を実現しました。
4. 未来への展望
NTTのこの成果は、将来的にはAIデータセンタ間の接続や、移動通信システムの無線バックホールなどへ応用できると考えられています。また、都市部でのイベントや災害時における臨時中継回線の迅速な敷設などにも活用される見込みです。
さらに、NTTは今回の技術を基盤に、将来的には10テラビット級の無線伝送技術の実現を目指し、研究開発を進めていく予定です。
5. まとめ
この新しい無線通信技術は、今後の通信インフラやデータ伝送のあり方に大きな影響を与えるでしょう。NTTは、この革新により、次世代社会インフラの構築に向けて一層の努力を続けていくとともに、世界市場における競争力を高めることを目指しています。