川崎市美術展最優秀賞を受賞した「扇暖簾」
昨今、アートと商業が交錯する場面が増えている中、川崎にて注目のアイテム「扇暖簾」が登場しました。デザイナー川畑健人氏が手掛けるこの暖簾は、独自の形状と意味を持つプロダクトとして、もはや単なる装飾品の域を超え、多くの人の心を惹きつけています。近年、川崎区を拠点とする老舗居酒屋「戸田ヤ」から生まれたこの暖簾は、地域文化の継承を目指したアートプロジェクト《imaginary folklore -eye-》として、第59回かわさき市美術展で最優秀賞を受賞しました。
扇暖簾の誕生とその意義
扇暖簾は、従来の四角いデザインを捨て、柔らかな半円の形状を持つことで、店舗や空間に温もりをもたらすという特性を備えています。この暖簾は訪れる人々の心理的な敷居を下げ、より親しみやすい空間を演出します。川畑氏は「暖簾そのものの形を優しいものにできないか」をテーマに、この形状を思いつきました。現在は、店舗やイベントスペースでの使用に対応するプロダクトとして広がりを見せています。意匠登録もされており、デザインとしての独自性も認められています。
imaginary folkloreについて
このプロジェクトの特徴は、地域の歴史や伝統を新たな形で取り入れた《imaginary folklore》(空想の伝統)にあります。これにより過去の地域文化や記憶を暖簾に込め、新しい物語を創り出す試みが行われています。川畑氏が制作に関わった作品「-eye-」は、ただのデザインではなく、地域の文化を象徴するアートとして機能します。
伝統技術の継承
また、本作品制作のために川畑氏は、川崎市伝統工芸館で藍染めの技術を学び、実際に染色も行っています。この施設は、地域に根付く藍染の伝統技術を守り、後世に伝える重要な役割を果たしています。藍色の深みのある表情を通じて、この地域の歴史を静かに見つめる目を持っているのです。
藍色の奥深さとその意味
作品名の「-eye-」は「眼」と「藍(あい)」がかけられた言葉遊びでもあり、深い藍色を通じて人々に地域の記憶や未来を想起させることを意図しています。このコンセプトは、扇暖簾を通じて地域文化や伝統技術を再評価し、現代的な視点から新たな価値を見出すことに寄与しています。
デザイナー川畑健人について
川畑健人氏は、2014年に文化服装学院を卒業後、アパレル販売職に従事。その後、家業の居酒屋「戸田ヤ」を起点に扇暖簾のプロジェクトをスタートさせました。彼の活動は、独自のデザイン哲学に根ざしたもので、今後は地域文化や伝統との向き合いを通じて、新しい「入口」を提示していくことを目指しています。
今後の展覧会の詳細
扇暖簾は、2026年に「入選作品展」と「入賞作品展」が開催されます。場所はミューザ川崎シンフォニーホールの4階企画展示室です。
- - 入選作品展: 2026年2月19日~2月25日
- - 入賞作品展: 2026年2月27日~3月7日
- - 時間: 9時~17時(最終入場16時30分)
- - 最終日: 12時まで(最終入場11時30分)
お問い合わせ先
- - ブランド: THE NORENMAKER
- - 代表: 川畑健人
- - 所在地: 神奈川県川崎市川崎区浅田3-8-1
- - 公式サイト: THE NORENMAKER
この扇暖簾の取り組みは、地域の伝統を生かしつつ新しい価値を創造する試みの一環であり、多くの人々に新たな文化の扉を開くことでしょう。