睡眠の鍵を握る眼鏡
2025-07-03 14:53:20

短波長光カットグラスがメラトニン分泌に与える影響を解明

短波長光カットグラスがメラトニン分泌に与える影響を解明



北海道大学大学院の山仲勇二郎准教授と東海光学ホールディングスの加藤祐史氏を中心とする研究グループが、国内ではあまり実施されていなかった市販の短波長光カットグラスの睡眠ホルモンへの影響を医学的に調査しました。この研究は、より良い睡眠環境を実現する手助けとなる可能性を秘めています。

1. 研究背景



近年、ブルーライト(短波長光)が睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を抑えることが知られています。特に夜間にスマートフォンやタブレットを使用する際、多くの人がこのブルーライトの影響を受けます。このため、メラトニンの分泌が抑制され、結果的に睡眠の質が低下するリスクが高まると言われています。

2. 研究方法



実験には健康な成人男女7名が参加。彼らは明るさを調整できる実験室で、午後8時から午前1時の間に異なる光環境で過ごしました。この間、500nm以下の短波長光を遮断する市販のブルーライトカットグラスを装着した条件と、装着しない条件でメラトニンの分泌量を測定しました。

実験は、低照度(5ルクス)、高照度(約2,000ルクス)、ブルーライトカットグラスを装着した高照度(約1,000ルクス)という3つの条件に分けて行われました。これにより、光環境がメラトニンの分泌に与える影響を評価しました。

3. 研究結果



実験結果によると、低照度条件下ではメラトニンの分泌が時間とともに増加し、午前1時に最高値を示しました。しかし、高照度条件下ではメラトニンの分泌が抑制されました。興味深いことに、ブルーライトカットグラスを装着した場合は、低照度条件とほぼ同等のメラトニンの分泌が維持されることが確認されました。これは、ブルーライトカットグラスが光によるメラトニンの抑制を緩和する効果を有していることを示しています。

4. 研究の意義



本研究は、ブルーライトカットグラスがナイトタイムのブルーライトに伴う生物時計の乱れや睡眠障害を防ぐ可能性を示しています。特に、最近一般的になったLED照明の環境でのメラトニン分泌への影響を軽減する手段として期待されるでしょう。このことは、長期的な健康維持にも寄与すると考えられます。

5. 今後の展望



今後は、ブルーライトカットグラスが生物時計の調整や睡眠質の向上にどのように寄与するか、更なる研究が求められます。特に、メタボリック症候群やその他の健康問題に対しても予防的なアプローチを検討することが必要です。今回の研究結果が、より多くの人々の健康な睡眠習慣の確立に繋がることを期待しています。

研究成果は、2025年7月3日のTohoku Journal of Experimental Medicineに公開される予定です。これは、日本におけるこの分野の研究において、重要なマイルストーンとなるでしょう。今後の研究進展に目が離せません!


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会社情報

会社名
東海光学株式会社
住所
愛知県岡崎市恵田町下田5番地26
電話番号

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