ジオパック株式会社は、軟包装業界において大きな革新をもたらす設備を導入しました。それは、株式会社シンク・ラボラトリーが開発した「広幅紙対応・水性デジタルインクジェット印刷機」です。この新たな技術により、従来の方法では難しかったラミネート加工紙への印刷が可能になりました。
この取り組みは、多品種小ロットの対応ができるだけでなく、製造ロスや在庫廃棄を大幅に削減します。業界でも注目されているサーキュラーエコノミーの理念にも合致したこのプロジェクトは、2025年の日本パッケージングコンテストにおいて包装部門賞を受賞しました。
導入の背景
従来の軟包装は、多くの課題を抱えていました。最小ロットが大きく、製版コストが高い上に、リードタイムも長いため、業界全体の採用が難しい状況でした。ジオパックは8年前から水性デジタル印刷の可能性に着目し、ついに今回、広幅紙に対応した印刷機を導入へと至りました。この革新的な設備は、今後の印刷業界のスタンダードになる可能性を秘めています。
技術的特徴
この新しい印刷機の特徴として、次の点が挙げられます。
- - 幅1,000mm以上の広幅の紙原反に対応
- - ラミネート済みの紙原反への表刷り印刷が可能
- - 製造ロスの軽減と「作りすぎない」アプローチによる在庫廃棄の削減
- - デジタル印刷特有の多品種小ロットに対応
- - VOCを含まない水性インクの採用
これにより、他の印刷方式では実現が難しい短期間での大量生産が可能となりました。また、他の素材への印刷も容易に行える点が特徴です。
事例紹介
この新技術は、株式会社大和のオーガニックティーブランド「なごみナチュルア」にも採用されています。このブランドでは、紙製のパッケージを使用することにより、プラスチック使用量を37%削減しました。また、10種類のデザインを各1,000袋単位で製造することに成功し、多品種の展開が現実のものとなりました。
消費者は「なごみナチュルア」のオンラインショップで、これらのエコパッケージを手に取ることができます。サステナブルな製品の購入が、環境意識の高い消費者に支持されています。
社会的評価
ジオパックの取り組みは、単なるデザインの評価にとどまらず、廃棄物を減少させる新たな生産工程の確立として高く評価されました。「表刷り×水性デジタル印刷による廃棄物削減パッケージ」は、2050年に向けたサステナブル社会の実現に向けての一歩として、広く支持されています。
今後の展望
ジオパックは、今後もこの広幅紙対応のデジタル印刷機を活用し、スペシャリティコーヒー分野や環境に配慮した製品の市場を対象に展開を広げる考えです。「必要なときに、必要な分だけ」をモットーに、過剰生産と在庫ロスを最小限に抑えた持続可能なサプライチェーンを構築することを目指しています。また、紙と樹脂の複合材に対する再資源化の取り組みも進め、リサイクル適性の向上を図る計画です。
ジオパックは、持続可能な未来に向けた革新をリードし続ける存在であることを証明していくでしょう。