学生とアスリートが支えるLGBTQ+の取り組み
近年、スポーツ界や学校現場におけるLGBTQ+の理解促進が求められています。これに応える形で、NPO法人プライドハウス東京が新たな取り組みをスタートさせました。現役の学生とアスリートが共同で制作した、LGBTQ+の理解を深めるための啓発動画教材を公開したのです。このプロジェクトは、誰もが楽しめるスポーツ環境を目指し、様々な課題の可視化を目的としています。
啓発動画教材の背景
日本におけるLGBTQ+問題は、未だに解決されていない重要なテーマです。日本スポーツ協会の調査によると、LGBTQ+についての情報を持つコーチや指導者はわずか3割という実態です。これは、スポーツ環境でのハラスメントや差別的な言動が依然として存在することを意味しています。
プライドハウス東京は、若者を中心にLGBTQ+に対する理解を深める活動を行い、複数の大学から集まった学生や元日本代表アスリートたちが参加しました。彼らの実体験に基づいたストーリーをもとに、スポーツ現場での問題を描いた6つのシーンを動画にて再現しました。
動画の内容と配布計画
制作された動画は、以下の6つのシーンをテーマにしています。
1. 更衣室での身体への視線・コメント
2. 生徒間での差別的発言
3. 指導者による差別的発言
4. 性別に基づくチーム分けやルール設定
5. 見た目やジェンダーに基づく固定観念
6. 教員間でのアウティング
これらの動画はQRコードを使用したフライヤーとして配布され、学校や大学のダイバーシティ推進室などで利用されます。さらに、インクルーシブな社会を実現するために、様々な関連団体とも協力し、動画の普及を図っていく予定です。
トークイベントでの議論
2025年2月28日には、LGBTQ+インクルーシブな環境を整えるための具体的なアクションについて、学生やアスリートたちが参加するトークイベントが開催されました。このイベントでは、当事者の体験や、その中で気づいた課題について活発な議論が繰り広げられました。
参加者の中には、元車いすバスケットボール日本代表の豊島英氏や、パワーリフティング選手の中嶋明子氏など、著名なアスリートたちが登壇し、それぞれの立場から情報提供が行われました。参加者たちは、無意識のうちに行われる差別的な言動がどのように問題を生むのかを掘り下げ、解決策についても具体的なアクションを提案しました。
インクルーシブ環境の必要性
トークイベントでは、参加者がスポーツを楽しむためには安心できる環境が不可欠であると強調されました。特に、教師や指導者の発言がどれほど選手や生徒に影響を与えるか、またそれがスポーツ環境全体にどのように波及するのかについての議論が深まりました。多くの参加者が、LGBTQ+についての正しい知識と意識を持つことが、環境改善への第一歩であると考えています。
未来の活動に向けて
プライドハウス東京は今後も、LGBTQ+の権利擁護とスポーツ界における多様性の促進を目指して活動を続けていきます。スポーツは誰にとっても楽しめるものであるべきで、そのためのアクションを今後も積極的に展開する予定です。こうした活動を通じて、全ての人が心からスポーツに参加できる環境が整うことを期待しています。