日カナダ関係の強化と未来を見据えた石破総理の寄稿
日カナダ関係の強化と今後の展望
令和7年6月16日、石破総理はカナダのグローブ・アンド・メール紙に寄稿し、「日カナダ関係をいかにして更に強化し得るか」というテーマで言及しました。これには、国際的な課題への取り組みや、国同士の協力の重要性が強調されています。
石破総理は、今年のG7議長国であるカナダのリーダーシップに敬意を表し、重要な歴史の転換点にいると述べました。ここで彼は、過去100年間の世界が直面してきた多くの危機、特に世界大戦や大恐慌、スペイン風邪の流行などを振り返り、国際社会がどのように団結して困難を乗り越えてきたかを説明しました。G7の結束によって、過去の危機に対しても果敢に対応してきた経緯があり、今回のG7サミットでも同様の団結が求められるとしています。
G7の意義と未来への展望
G7諸国は、国際的な協力を推進し、強固な国際秩序を構築する役割を果たしてきました。この50年の歴史の中では、湾岸戦争、アジア通貨危機、リーマンショックや新型コロナウイルスの大流行など、数多くの試練が立ちはだかりましたが、いずれも結束して乗り越えてきたのです。現在、我々は新たな挑戦に直面しており、G7が国際社会を分断から協調に導く手段として機能することが期待されています。
特に、法の支配に基づく国際秩序の強化が重要だと石破総理は強調しました。この観点から、ロシアによるウクライナ侵略の終結と平和の実現は急務であり、日本はG7の一員として、ウクライナ支援と対露制裁を継続して行う意志を表明しました。また、インド太平洋地域の安全保障にも注意を払い、「自由で開かれたインド太平洋」の促進に取り組む決意を語りました。
経済活動と技術の未来
さらに、急増する世界経済の不確実性に直面しながら、G7は経済活動を支える役割を果たす必要があると述べました。WTOやCPTPPを含む自由で公正な経済秩序の維持が不可欠であり、日本はこの面でもリーダーシップを発揮する意向を示しています。
新興技術の分野では、AIや量子コンピューティングに関する協力、経済安全保障を強化するための重要鉱物のサプライチェーンの強靱化が求められています。また、国際的な山火事や組織犯罪への対策も重要な課題です。これらの多様な問題に対処するために、G7の結束した対応が鍵となるでしょう。
日カナダの深化するパートナーシップ
日本とカナダは、互いに価値や原則を共有する重要なパートナーです。石破総理は特に、日本企業がカナダのエネルギーセクターに参入する計画を紹介し、カナダ産のLNGを日本やインド太平洋地域へ供給する取り組みが進行中であることを強調しました。また、小型モジュール原子炉(SMR)の建設に関しても言及し、今後の技術協力の展望を明らかにしました。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした大阪・関西万博でのカナダのパビリオンにも触れ、両国間の人的交流や経済的交流がより一層深まることを期待しています。
このように、日カナダ関係は長い歴史を持つ友好関係の上に、新しい局面を迎えています。外交関係樹立100周年を迎える2028年に向けて、さらなる発展を期待するとの意気込みで石破総理は締めくくっています。