若手女性研究者を応援する「WISER」プロジェクトとは
株式会社tayoは、若手女性研究者の起業とスタートアップ参画を支援するために新たなプログラム「WISER (Women In Science Excellence and Revolution)」を始めました。この取り組みは、株式会社An-Nahal、Beyond Next Ventures株式会社と共に実施されるもので、東京都が運営する「TOKYO SUTEAM」の重点プロジェクトとして採択されています。資金面でも最大1億円の協定金が用意されています。
プロジェクト推進の背景
スタートアップの世界は、これまで「ボーイズクラブ」と揶揄されるほど男性が優位な環境であり、特にディープテック分野ではその傾向が顕著です。2022年に金融庁が行った調査によると、女性起業家の割合はわずか34.2%、企業での女性社長は14.2%にとどまっています。新規上場企業における女性社長の比率は、さらに厳しくわずか1%という現状です。このような数字からも、特に大学などの研究機関で活動する女性研究者の起業に関する取り組みが急務であることがわかります。実際、2023年の総務省の調査では、日本の研究者に占める女性の割合は18.3%です。
このような厳しい状況において、「女性」「研究者」「起業家」という三重のマイノリティに対して、特に重点的な支援が必要です。「WISER」プロジェクトは、女性研究者が起業する際の障壁を取り除くことを目的とし、成功事例を増やし、次世代に向けた新たな環境を構築することを目指しています。
プロジェクトの内容
「WISER」では、女性研究者が築くコミュニティや支援プログラムを通じて、以下の取り組みを実施します。
1. 女性研究者限定のコミュニティ形成
女性研究者専用のコミュニティを構築し、学術講義やキャリアセミナーを開催します。オンラインを活用した交流も行い、300名規模のネットワークを形成します。
2. 合宿イベントの開催
起業を目指す女性研究者と共に、ネットワーキングの場となる合宿イベントを定期的に開催します。ここでは、女性起業家や専門家によるセミナーを通じて、参加者の意欲を高めることを目指します。
3. GAPファンドによる資金提供
数千万円規模のGAPファンドを設立し、選ばれたプロジェクトに資金提供を行います。大学と連携し、専門家によるハンズオンの支援も実施され、事業化への道筋をサポートします。
参加者の声
このプロジェクトには多くの期待が寄せられています。tayoの土井ゆりか氏は、「私自身も女性研究者としての経験から、仲間を見つけることの難しさを痛感していました。WISERによって、多くの女性研究者が支援を受けられるようになれば」と述べています。
Beyond Next Venturesの伊藤毅氏は、「このプロジェクトによって、多様性が尊重される環境を整え、次世代のロールモデルとなる女性研究者が生まれることを期待しています」とコメントしています。
An-Nahalの品川優氏も「圧倒的マイノリティである女性研究者が挑戦しやすい環境を提供したい」と語っています。これらのコメントからも、女性研究者支援に対する強い思いが伝わってきます。
今後の展望
若手女性研究者向けの「WISER community」では登録を受け付けています。40歳未満で修士以上の研究経験を持つ女性研究者が対象になり、興味のある方は、ぜひ参加してみることをお勧めします。さらに、支援者を募っており、様々な形での協力が求められています。
新しい挑戦を支える「WISER」プロジェクトが、女性研究者の未来を劇的に変えるきっかけとなることを願っています。