TYPICAが構築する新たなコーヒーエコシステム
日本の
TYPICA Holdingsが新たに発表した長期固定価格によるダイレクトトレード第2号案件は、総額約30億円に達し、このプロジェクトは日・ブラジル両国政府の公認を受けています。この発表は、今年の3月27日に東京で開催された日伯経済フォーラムにおいて、両国の首脳の見守る中で行われました。さらに、台湾の飲料企業"金車グループ"が運営する「Mr. Brown Coffee」が新たにこのプロジェクトに参画し、台湾企業が初めてTYPICAエンタープライズマーケットに加入することになりました。
覚書の背景と目的
従来、コーヒーの生豆価格は先物市場を基に決定されてきましたが、近年は投機マネーの影響により価格の変動が著しくなっています。過去1年では、最大で125%もの変動が見られ、これが生産者とバイヤーにとって不可解な取引環境を生んでいます。この状況に対処するために、TYPICAはオーダーメイド型のダイレクトトレードエコシステムの構築を進めています。
覚書は台湾での第1号案件となり、これにより、生産者とバイヤー間での互恵的な関係構築が期待されています。長期固定価格のある取引を通じて、双方は実際のコストと価値に基づいた取引を行うことができ、サステナブルな取引が可能になります。
コーヒー業界への影響
この新取り組みにより、バイヤーは安定した価格で高品質の原材料を手に入れることができ、消費者に対しても質の高い製品を安価で提供することができます。また、生産者にとっては、先物市場の変動から解放され、長期的な経営計画を立てつつ、気候変動への対策や品質向上に向けた投資ができる環境が整います。このようにして、コーヒー産業全体の持続的な発展が促進されると期待されています。
説明会も開催され、ブラジルの主要生産地域であるミナスジェライス州アラシャにて、約30の農家が参加しました。この会では生産者の関心が高く、質疑応答も活発に行われました。
今後の計画
TYPICAは、2030年までに日本とブラジル間で10件、台湾とブラジル間で3件のプロジェクトを推進し、全体で1,300億円規模の新しい国際コーヒー市場を構築することを目指しています。さらに、2025年には韓国、2026年には中国市場へと進出し、2030年以降は欧州と米国にも展開を予定しています。
TYPICAのビジョン
TYPICAは、2019年に創業されて以来、高品質なスペシャリティコーヒーに特化した事業を展開し、これを推進するダイレクトトレードプラットフォームを構築しています。YouTubeを含む各種SNSやイベントを通じて、世界中の生産者、ロースター、そしてコーヒー愛好者たちを繋げ、新たなコーヒーコミュニティを育んでいます。
このような取り組みにより、TYPICAは生産者やバイヤーが持続可能で安定した取引を行えるような仕組みを構築していくことを目指しており、今後の展開に期待が寄せられています。