未来を担う学生発明家たちが集結し、優れたアイデアを競う表彰式開催
3月7日、東京・八重洲にて「令和6年度パテントコンテスト」と「デザインパテントコンテスト」の表彰式が行われました。文部科学省や特許庁が主催する本コンテストは、高校生や大学生が応募した特許及びデザインの優れた事例を表彰し、知的財産への理解を深めることを目的にしています。
今年は全国から累計1436点の応募があり、パテント部門では645作品、デザインパテント部門には791作品が寄せられました。その中から、パテント部門は30点、デザインパテント部門は27点が優秀賞に選出されました。この場には、受賞した学生たちの熱意と創造性が溢れ、発明に対する興味と意欲を感じることができました。
表彰式では、特別賞として「選考委員長特別賞」「特許庁長官賞」など、合計7賞が贈られました。受賞作品の中には、岐阜県の高校生チームが開発した「バナナスタンド」と、佐賀県の学生による「立体透明時計」があり、それぞれの発明の背景や技術的工夫が紹介されました。
優秀賞受賞者のプロジェクト
バナナスタンドの革命
岐阜県立岐南工業高等学校の学生3人が受賞した「バナナスタンド」は、バナナの熟成を遅らせるための特別なスタンドです。この装置は、バナナの茎を差し込むことでエチレンガスの放出を抑制し、果物の長期保存を可能にします。彼らは、機能性だけでなくデザインにもこだわり、独自の構造を追求しました。
「私たちの発明は、日持ちが良くなるだけでなく、見た目にも美しい」と語る彼らの意欲的な姿勢が会場に響き渡りました。また、岐阜県の農家とも連携して事業を展開したいとの意向も示されました。
立体透明時計の新しい時の形
一方、佐賀県立有田工業高等学校の今井若津さんによって考案された「立体透明時計」は、全方向から時刻を確認できる球体デザインのアナログ時計です。この作品は、「時計はシンプルすぎる」という課題感から出発し、透明な球体に針を曲げて視認性を向上させるという新しい形を実現しました。彼女のデザインは、若い世代に新しい価値観を提供することを目的としています。
吉野彰選考委員長のメッセージ
表彰式の中で吉野彰博士(旭化成株式会社名誉フェロー)は、受賞者たちに向けて、今後の研究開発の方向性や、発明に至るまでの思考パターンを詳しく伝えました。発明には、未来を見据えたアイデアの構築が不可欠であり、実験を通じた確認が重要と強調。また、先行技術調査を通じて、他のアイデアと差別化を図ることの意義についても言及しました。
博士は、受賞者たちがこの貴重な体験を将来に役立て、社会で新しい価値を生み出すクリエイターへと成長することを願っています。
パテントコンテストの意義
本コンテストは、若手クリエイターの発想力を競い合い、特許や意匠権をスムーズに取得できるようサポートすることで、学生たちの創造力を育むことを目指しています。特に特許庁が提供する手続きの無償サポートは、挑戦する学生たちにとって大きな助けとなります。
未来の発明家やデザイナーたちが、今後もこのような機会を活用し、世界を変えるアイデアを次々と生み出していくことを期待しています。