はじめに
最近、跳躍運動における「踏切脚」の選択が注目されています。この研究は、笹川スポーツ財団と山梨大学大学院の鈴木健一准教授によって、2025年4月から2026年3月にかけて行われています。特に、小学校体育における学習のプロセスにおいて、踏切脚がどのように決定されるのかが探求されています。
研究の背景
笹川スポーツ財団は「スポーツ・フォー・エブリワン」をスローガンに、スポーツの普及と教育に取り組んでいます。特に、児童が運動を行う際に持つ能力を最大限に引き出すための学習環境を整えることが重要だと考えています。 陸上競技において、跳躍運動は多様な技術や身体能力を必要とし、特に踏切脚の選択がパフォーマンスに与える影響は大きいとされます。 これまでの先行研究では、利き手や足での運動に関連した知見が多く見られましたが、実際の踏切選択は一様ではありません。
研究の目的
この研究では、片脚による跳躍運動において、どの脚で踏切るかの決定要因を明らかにすることを目的としています。実施されるのは「片脚一歩跳」「片脚垂直跳」「走幅跳」「走高跳」の4種目であり、それぞれにおける踏切脚の使用状況を調査します。
研究の結果
研究により、以下のような興味深い結果が得られました。彼らのデータから見て取れるポイントは、
- - 運動の種類によって異なる踏切脚: 踏切際、必ずしも利き足と同じ脚や、普段ボールを蹴る脚が選ばれるわけではなく、種目によって大きく異なることがわかりました。例えば、助走を伴わない跳躍、具体的には「片脚一歩跳」や「片脚垂直跳」は、約70%が右脚で踏み切っています。
- - 走幅跳と走高跳の傾向: 助走を経て行う「走幅跳」では57.7%が左脚、「走高跳」では81.9%が左脚で踏み切っています。これにより、助走の有無が踏切脚の選択に影響することが示唆されます。
指導への示唆
研究結果は、次期学習指導要領や関連指導資料の内容の構築にも影響を及ぼすことが期待されます。従来の指導法では踏切脚が決定された後、競争や記録向上に向けた活動が中心でしたが、実際には学習過程における選択プロセスへの理解が欠如していました。児童たちには、左右の脚を試す機会を十分に与え、それぞれの運動に適した踏切脚を見つける経験が必須です。
結論
この研究が示唆するのは、単に脚を選ぶなかで、運動の特性を理解することがどれほど重要であるかということです。指導者は、何を問題とし、どのように運動を進めていくのかをしっかり把握した上で、実際の指導にあたることが求められます。踏切脚選択のプロセスの重要性を根底に据え、指導法の見直しが進むことが、児童の運動能力向上に繋がることを願います。