新たな自然循環を目指す「野趣(やしゅ)」の誕生
日本各地で「自然」と「都市」、さらには「人間」が共生し、持続可能な循環型社会の実現を目指す共同体「野趣」が発足しました。このプロジェクトでは、ランドスケープデザイナーやフードディレクター、薬草使いなど、様々な専門家たちが集まり、日本の土着文化と自然との調和を探求しています。
発足の背景
「野趣」という言葉は、古くから自然の趣を表現する日本の言葉です。現在、循環型社会の重要性が高まる中で、日本が持つ豊かな自然資源を活かすためには、我々の生活に自然との調和を取り入れる必要があると「野趣」は考えています。共同体メンバーは各地で出会った生産者や職人とともに、未来につながる文化を形作ることを目指しています。
野趣の具体的な活動と循環の実践
「野趣」は、自然と都市の調和をテーマにしたプロジェクトを進めており、各地域のエコシステムをデザインし、持続可能なコミュニティを作り上げるための活動を行っています。具体的には、以下のようなプロジェクトが進行中です。
プロジェクト第一弾:élab(東京都台東区)
東京都台東区のサイセーズビル内にオープン予定の「élab」は、循環を体感できるレストランや、薬草を取り扱う茶房を併設するラボです。知識の集積地として、蔵前周辺でのものづくりに触れられる場を提供し、デザイナーや職人とのコラボレーションによるイベントやワークショップも開催予定です。また、屋上にはルーフトップガーデンを整え、都市と自然のつながりを深める試みも行います。現在、クラウドファンディングを計画中です。
プロジェクト第二弾:「このほし」(秋田県五城目町)
秋田県五城目町では、ツリーハウスを中心に自然と遊びながら学ぶ場を設計する「このほし」プロジェクトが進行中です。この場所では、一人ひとりの個性が輝くことを目指し、自然と共に成長できる場を提供することが狙いです。
プロジェクト第三弾:コルゲートハウス開発(愛知県豊橋市)
愛知県豊橋市では、故・河合健二・花子夫妻が暮らしていた自律循環型の住まいを活かし、「食べられる森」をテーマにした施設の開発を進めています。野趣は、コンセプトプランやランドスケープデザインを担当し、地域の人々と共に自給自足のライフスタイルの実践を支援します。
共同体メンバーの紹介とコメント
「野趣」のメンバーは、それぞれ異なる背景と専門知識を持つプロフェッショナルたちです。皆が一つのビジョンに向かって共に活動することで、循環型社会の実現を目指しています。
- - 會澤 佐恵子: ランドスケープデザイナー。文化や素材との関わりを大切にし、地域に寄り添った風景作りを目指しています。
- - 青柳 陽子: シェフ。農業に触れる中で、季節の移り変わりを感じる料理を提供し、食を通じた感動を追求しています。
- - 大山 貴子: サーキュラーエコノミーのコンサルタント。循環型社会の実現に向けて、広く人々と連携しながら活動を行っています。
これらの多様な視点からのアプローチを通じて、野趣は持続可能な社会の形成に寄与しています。
ポッドキャスト「野趣の寄り合い」
「野趣」の活動やプロジェクトについてより深く知ってもらうためのポッドキャストも配信されています。全国各地での活動を通じて感じたことや考えることをお届けするこの番組は、Apple PodcastsやSpotifyなどで楽しむことができます。
まとめ
「野趣」は、自然と都市、人間が調和しながら持続可能な社会を築いていくための新しい試みです。さまざまな専門家が協力し、それぞれの知識を活かしながら、共に未来を創造する活動を続けていきます。日本の地域資源を最大限に活用した文化の再生と、持続可能なライフスタイルの育成が、今後の「野趣」の大きなテーマとなるでしょう。