極低温技術を利用した青果物の鮮度保持
近年、気候変動の影響で青果物の鮮度保持が大きな課題となっています。特に高温の夏季には収穫後の青果物が劣化しやすく、消費者や産業界にとって脅威です。これを解決するため、当社は極低温技術と液体窒素を活用して「急速冷却システム」を開発しました。
開発の経緯と目的
当社グループは、地域農業の振興や食品ロスの低減を目指し、革新的なビジネスモデルの創出に取り組んでいます。その中で、青果物の収穫時期における高温の影響を軽減するため、迅速な冷却が必要だという現場の声を受けて新システムの開発が始まりました。特に、収穫直後の冷却が鮮度を保つ鍵であることが分かっているため、努力が続けられています。
日本国内では、効果的な冷却設備を持つ産地もありますが、高額な設備投資や電力コストが大きな障害となっていました。このような課題を解決するため、当社は自身の経験を活かし、液体窒素の冷熱を使った効率的な冷却システムを開発しました。
急速冷却システムの特長
新たに開発された急速冷却システムは、エア・ウォーター北海道・産業ガス㈱の技術を基にしています。簡単な構造の可搬式装置で、液体窒素を利用し、わずか1時間で青果物を冷却することが可能です。この技術は、従来の機械式冷凍機では実現できなかったスピードを実現しました。
また、可搬式であるため、小売店舗のバックヤードなどで仮設冷蔵庫としても利用することができます。この柔軟性が、さまざまな業種のニーズに応えることができる要因となっています。
今後の展望
当社は、この急速冷却システムを複数基製作し、実際の運用で効果を確認するための実証試験を開始します。その際、地域の農業者や流通事業者と連携し、品種や収穫時期に応じた最適な鮮度保持条件を探求していく予定です。
将来的には、このシステムのレンタルや、青果物流通企業への販売も視野に入れています。また、液体窒素の販売や国産青果物の海外輸出、高級食材への加工といった新たなビジネス展開を考えています。
当社は、持つシナジーを最大限に活かすため、新鮮な食材を消費者に届け、健康増進に貢献することを目指します。食品ロスを最小限に抑え、社会的な課題解決にも寄与していく所存です。今後の実証試験において期待される成果に、ぜひご注目ください。