東日本大震災伝承活動調査結果の概要
2024年8月11日、公益社団法人3.11メモリアルネットワークは、岩手・宮城・福島の震災伝承団体と伝承施設における2024年の伝承活動調査結果を速報として公開しました。この調査は、各都道府県での震災学習プログラムを提供する25団体と、26の伝承施設が対象となり、多くの貴重なデータが集められています。
調査の背景と目的
福島第一原子力発電所事故を含む東日本大震災が発生してから早14年が経過しました。3.11メモリアルネットワークは2017年から毎年、震災伝承活動に関する調査を実施し、震災の教訓を次世代に伝えるための基礎資料を作成しています。今回の調査は、震災からの復興が進む中、伝承の持続性やその影響を把握するために行われました。
調査結果のポイント
1. 「継続の不安」
調査に対する回答によれば、震災伝承に携わる団体の96%が活動の「継続性に対する不安」を感じているとの結果が出ました。特に、震災の語り部が防災に対してどのように寄与できるかの認識が強まる一方で、その活動の見通しが立たなくなっている現状が浮き彫りにされています。
2. 防災意識への寄与
来訪者の意識や行動の変化に関する質問には、100%の回答者が語り部の活動が寄与する可能性を認めています。これは、語り部の重要性が再確認されていることを示しています。
3. 成果の測定指標
震災伝承の成果を測るための指標として、最も重要視されたのは「伝承団体や施設への来訪者数」のようです。これに対し、最小評価となったのは「復興庁教訓継承サイトの普及開発コンテンツ数」でした。
4. 人材確保の見通し
伝承人材の確保に関しては、半数以上の団体が1年後の見通しについて「余り見通しがついていない」「全く見通しがついていない」と回答しており、今後の課題として浮き彫りになっています。
5. 公的資金支援の期待
「第2期復興・創生期間」終了後の震災伝承への公的資金支援に関しては、76%の伝承団体と54%の伝承施設が「支援の拡充」を期待するとの結果が示されています。
今後の展望
今回の調査結果は、発災から15年を迎える前に、東北地方での震災伝承の現状を理解し、次世代への継承を促進するための重要な参考材料となります。3.11メモリアルネットワークは今後も調査結果を精査し、報告書をまとめる予定です。これにより、震災の教訓が未来に生かされることを目指しています。
まとめ
震災から多くの時間が経過しましたが、その教訓を忘れないための活動は依然として重要です。震災伝承は、単なる過去の出来事の記録にとどまらず、未来に向けての重要なメッセージとなることが期待されています。東北の皆さんの取り組み、そして全国的に広がる震災伝承の活動が、より持続可能な形で未来へと受け継がれていくことを願っています。