中国の謎の信仰世界を探索する『TikTok民俗学』の魅力

2023年12月10日、NHK出版から待望の新書『中国TikTok民俗学スマホからはじまる珍神探訪』が発売されます。この書籍では、中国各地に点在する珍しい神々とその信仰体系を、現代的なアプローチで探求しています。本書は、SNS時代の新しいフィールドワーク手法を駆使したもので、特に中国版TikTokを利用した取材方法が特徴的です。

珍神探訪の始まり

「民間信仰の研究は果たして可能なのか？」。そう問いかけたくなるほど、中国は現在、様々な奇異な神々にあふれた宗教的風景を呈しています。本書の先導役である著者・大谷亨氏は、日々の生活の中で見出した珍しい信仰の数々を紹介し、その中に秘められた文化や人々の思いを描いています。

本書は全8章にわたり、各地の珍神やその関連縁起を深 dive しています。各章ごとに異なるテーマが設けられ、読者はそれぞれの物語を通じて中国の民俗学の世界に浸ることができます。

目次のご紹介

フィールドワークのしおり

ここではTikTokを用いたフィールドワークの手法が解説されています。身近なSNSを利用することで、より多くの人々が手軽にこの世界に足を踏み入れられます。

第1章: 逆立ち張五郎を探せ！

湖南地方での驚くべき神々の姿が描かれています。逆立ちポーズをとる神像を目指す旅は、驚くべき神話やストーリーに包まれており、宗教と文化の交差点を探求します。

第2章: 張五郎にチラつく鬼の形相

こちらの章では、張五郎とその崇拝者が直面する問題や伝説が語られ、人間と神々の絡み合った日常が描写されています。

第3章: セクシー九尾狐に魅入られて

文化に根付く「セクシー九尾狐」をテーマにした章は、中国の現代的な信仰に触れる機会を提供しています。各地の女性たちがこの神を崇める様子や、その背後にある文化的要因が紹介されます。

第4章: タイの神秘とセクシー九尾狐

タイにおける九尾狐の信仰について考察し、異文化間の交流がどのように成り立っているかが探求されます。

第5章: 大黒天の逆輸入

日本から中国へと影響を及ぼしている大黒天信仰の新展開が語られ、文化の流動性を示しています。

第6章: お盆フェスの聖と俗

中国のお盆を題材に、宗教と祭りがどのように交差するのかを探ることにより、信仰の多様性を実感させる内容となっています。

第7章: 闇に惹かれる人々

無常信仰についての考察が織り込まれ、信仰が人々の心にどのように影響を与えているかを考えさせられます。

第8章: 中原に花咲く無常信仰

中国の無常信仰がどのように展開しているのか、さまざまな視点から紹介されます。

著者について

大谷亨氏は、現在廈門大学で教授として教鞭を執る傍ら、民俗学の研究に日々取り組んでいます。著書には『中国の死神』（青弓社、2023年）などがあり、広範なテーマにわたって民俗学的考察を展開しています。

まとめ

『中国TikTok民俗学スマホからはじまる珍神探訪』は、SNSを利用した新しいフィールドワークアプローチによって、従来の学問とは異なる切り口で中国の信仰世界を捉えました。現代の中国に眠る多様な信仰の姿を目の当たりにしたい読者にとって、必読の一冊です。興味のある方はぜひ、書店やオンラインで手に取ってみてください。