京王電鉄とアサヒ飲料が手を組み、持続可能な社会の実現に向けた革新的なプロジェクトを発表しました。これは、コンクリート製ケーブルトラフにCO2吸収材を取り入れる取り組みです。関係する3社は、京王電鉄の鉄道路線内で使用される新たなケーブルトラフを12月18日から導入する予定です。
ケーブルトラフは、鉄道の電気配線用ケーブルを保護するための管であり、一般的にコンクリートで作られています。新たに開発されるこのケーブルトラフには、アサヒ飲料が運営する「CO2を食べる自販機」で回収されたCO2を原料の一部として使用します。これは国内初の試みで、加えて収集したCO2の資源循環の推進に寄与します。
事前の検証によれば、このコンクリート製ケーブルトラフは、1m³あたり約28kgのCO2排出量を削減することが可能です。今回のプロジェクトでは、浜田山駅から高井戸駅にかけて、約165m分のケーブルトラフにこの新技術が取り入れられます。
京王グループは「環境にやさしく」という理念を掲げ、さまざまな取り組みを通じて持続可能な社会を実現しようとしています。地球環境を保護するための機器導入や省エネルギー施策の推進、再生可能エネルギーの利用など、多岐にわたる方法で脱炭素社会の実現を目指しています。
また、アサヒ飲料も前進的な取り組みを行っています。彼らは、CO2資源循環に関する実証実験を積極的に進めており、CO2吸収材をコンクリートやサンゴ移植の基盤として活用しています。これにより、CO2を更に資源化していくモデルの最適化を目指しています。
特に、アサヒ飲料が開発した「CO2を食べる自販機」は、稼働電力由来のCO2排出量の約20%を年間で吸収する能力があります。これは、58年から60年を経た杉の木20本分に相当する量です。自販機は現在、関東・関西エリアを中心に設置されており、2024年11月末までには約350台が稼働する予定です。
この新たなプロジェクトは、環境への配慮と共に、地域社会との共創を目指すものとなっています。アサヒ飲料は、吸収したCO2を他の工業用途にも活用することを計画しており、例えばアスファルトやコンクリートの原料として使用することや、海洋生態系の再生を図る藻場の造成などが挙げられています。
このCO2資源循環の取り組みは、アサヒ飲料の長期的なビジョン「100 YEARS GIFT」にもつながっており、持続可能な未来を子供たちへ繋げるための活動です。アサヒグループは、事業活動を通じて持続可能な社会への貢献を目指しており、特に「気候変動への対応」に力を入れています。2040年までにCO2排出量をネットゼロにすることを目指す中長期目標『アサヒカーボンゼロ』の実現に向け、様々な施策を進めています。
この新たな取り組みが、国内の脱炭素化の波及効果を生み出し、他の企業にも同様の活動を促進することを期待したいです。温暖化対策としての本プロジェクトに今後も注目していきます。