防災意識の現状
日本は自然災害に対して高いリスクを抱えていますが、最近の調査結果によると、住宅購入者における防災意識には問題点が多いことが浮き彫りとなりました。VSG不動産株式会社が実施した、住宅購入者1,000人を対象に行った防災意識調査では、住まい選びにおける優先順位として防災がそれほど重要視されていないことが分かりました。この結果は、災害リスクが高い国としての日本においては驚くべき現象として指摘されています。
住まい選びの実態
調査によると、最も重視された項目は「交通の利便性」で51.9%、それに続くのが「生活利便性」で47.1%でした。これに対し、防災面の「災害リスクの低さ」は24.3%と、期待したほどの重視度ではありません。住宅購入者のほとんどは通勤や買い物の利便性を優先しており、地域や物件の安全性についての意識は思った以上に薄いのです。
戸建てとマンションの防災意識
戸建て住宅の購入者の中では、防災を考慮して「ハザードマップを重視する」と答えた人が41.8%に達しました。地震や浸水に備えた立地選びは意識されているようです。しかし、依然として「防災は意識しなかった」という回答も16.6%あり、災害への備えに対する意識のばらつきは明らかです。
一方、マンション購入者の約半数(46.5%)が耐震・免震構造を重視すると回答しており、構造的な安心感が求められている傾向が見受けられます。構造面以外でも、共用部の備えや管理組合への信頼も選定理由として挙げられるようになってきました。
地域選びの基準
地域選びについては、「地盤の強さ」を重視する回答が39.8%、続いて「ハザードマップの評価」が36.5%となっており、キーワードとして地盤の安全性が強調されました。ここにも地域への配慮が見られますが、避難所の近さや災害時の交通インフラについては相対的に優先度が低いことが指摘されています。
災害リスクの情報収集
情報源として最も多く利用されていたのは「ハザードマップ」で、53.2%がこれを利用していると回答しました。SNS等の新しい情報収集方法が目立たない一方で、信頼性の高い情報を選んで収集している点は評価されます。約10%の人は情報収集を行っていないという結果もあり、リテラシーにおいての個人差が露呈しています。
防災意識の変化
驚くことに、住宅購入後に防災への意識が変わったと答えた人は70%を超えています。この結果は、住まいに対する認識が変わり、防災対策を実行する状況に結びついていることを示唆しています。一方で、実際に行動を伴っているのは約4割にとどまるため、意識と行動とのギャップには課題が残ります。
まとめ
最終的に、この調査は住まい選びの重要な要素として防災を位置付けることの必要性を示しています。災害が日常的に発生する日本において、住宅購入者がもっと防災に目を向けるよう、そして、不動産業界全体が防災面での情報提供を強化していくことが求められます。住まいを選ぶ際には、安心できる未来のために防災を見逃さないように、ぜひ意識していただきたいと思います。