カソク株式会社とenableXが手がけるホテル業務へのAI導入
ホテル業界では、深刻な労働力不足が問題視されています。この課題を解決するために、カソク株式会社(以下「カソク」)と株式会社enableX(以下「enableX」)は、AIエージェントを活用したオペレーションの効率化に向けて新たな挑戦を始めました。この連携は、2026年4月20日に締結された「フィジカルAIを活用したホテルオペレーションDXの戦略的パートナーシップ」に基づいて進められています。
背景
ホテル業界の現場では、生産性向上と業務の標準化が急務です。しかし現実には、新しいシステムやツールへの移行が難しいという実情があります。これまでの大規模なDX(デジタルトランスフォーメーション)は、スタッフへの学習負担や導入コストが高く、長期的な定着が難しいという課題を抱えてきました。そこでカソクとenableXは、既存のデータとシステムをいかに連携させるかにフォーカスし、AIエージェントが自律的に業務を行える環境を整えることに取り組んでいます。
具体的な取り組み
社内QAボットの導入
ホテル現場では、スタッフが持つ質問が電話やチャットでマネージャーに集中し、結果的にマネージャーは常に対応を迫られる状況が続いていました。加えて、情報が散逸し、マニュアルが更新されない悪循環にも直面していました。これらの課題を解決するために、カソクはLINEを活用した社内QAボットを開発しました。このボットは、蓄積された業務マニュアルに基づいて自動的に質問に答え、もしボットでは対応できない内容が来た場合はマネージャーにエスカレーションされます。この流れによって、マニュアルも自動的に更新され、現場の情報が常に最新の状態に保たれるのです。
現在、ボットの導入は複数の拠点で進められており、スタッフのオンボーディングツールとしても機能しています。現場スタッフは普段通りLINEを使うだけで、マネージャーの負担軽減とマニュアルの自動更新、現場スタッフの立ち上がりスピード向上が実現されます。
ゲスト対応・社内レポーティング業務の自動化
社内QAボットの導入に加えて、宿泊客からの問い合わせに自動で応じるシステムや、複数の施設の運営実績を集約して可視化するレポーティング業務の自動化も進めています。これにより、現場業務のAgentic Operation化が次の段階に進んでいます。
今後の展望
ホテル運営が拡大する中で、各現場から得られる知識を迅速かつ正確に共有する体制が必要です。カソクはLINEを介してAIで回答できない内容を担当者に引き継ぐ社内QAボットの試験運用を開始しました。今後はこのログを基に、さらに精度を高め、安全かつ実効的な業務自動化に向けた取り組みを進める方針です。一方、enableXはホテル業界向けのAIエージェント事業を展開し、システムの刷新や大規模な導入なしで業務効率化を図ることを目指しています。小規模から導入し改善を続けることで、現場主義に基づいた支援を行っていく予定です。
このように、カソクとenableXの協業によって、ホテル業界のオペレーションがいかに大きく変わっていくかが注目されます。両社は、蓄積されたノウハウを基に、業務負担を軽減しつつ収益性の向上を図り、さらにはこのノウハウを他業界にも拡大していく計画を立てています。