岡山大学が開催したヘルスケアスタートアップシンポジウムの成果と展望

岡山大学が成し遂げたヘルスケアスタートアップシンポジウム

2025年3月13日、岡山大学は「ヘルスケアスタートアップシンポジウム」を開催しました。これは地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の一環として実施され、ホテルグランヴィア岡山を会場に約240人が参加したハイブリッド形式のイベントでした。

シンポジウムの目的と重要性

本シンポジウムの主な目的は、ヘルスケア分野におけるスタートアップ創出の可能性や課題を探求することです。特に、国家や地域社会におけるヘルスケア施策を理解し、研究成果を社会に実装するための道筋を描くものでした。参加者は大学関係者、事業会社、自治体の担当者など多岐にわたり、議論の幅も広がりました。

開会にあたり、志水武史氏（岡山大学スタートアップ・ベンチャー創出本部本部長）は挨拶を行い、シンポジウムの趣旨を説明しました。彼は大学として地域の特性を踏まえたイノベーションの創出に努めていることを強調しました。

講演セッションの内容

ポイントとなる講演者の発表

シンポジウムの前半は講演セッションが中心となり、各専門家からの知見が共有されました。まず、加藤浩晃氏（東京科学大学臨床教授）は「ヘルスケア事業化に向けたポイント」と題して、成功するための要素として「規制の理解」「市場特性の把握」「販売戦略の確立」が必要であると強調しました。この発言は、ヘルスケアビジネスの実現には深い知識と準備が不可欠であることを示しています。

次に、経済産業省の山崎牧子氏が「ヘルスケア産業振興に向けた国の施策」を発表し、少子高齢化が進行する中での健康経営や医療データの活用法について具体的な施策を紹介しました。国の支援施策を紹介することで、企業や自治体がどのように協力してヘルスケアを発展させられるかを具体的に述べました。

さらに山海嘉之氏（CYBERDYNE社代表取締役社長）は「サイバニクス医療健康イノベーション」というテーマで講演を行い、新しい医療技術の概念とその社会実装に向けた制度整備の重要性を強調しました。これにより、ヘルスケア分野が直面する規制の多さや複雑さが浮き彫りになりました。

パネルディスカッション

最前線の意見交換

後半はパネルディスカッションが行われ、志水本部長がモデレーターとして進行。加藤氏、山崎氏、山海氏が意見を交わしました。ここでの議論は、医療分野の厳しい規制に対抗するためにスタートアップにはマーケティング視点が必要であることや、政策を現場の声から作り上げる重要性が強調されました。また、異分野とのコラボレーションの重要性も指摘され、今後のスタートアップのあり方に新たな視点を提供しました。

参加者の交流と展望

シンポジウムの最後には、岡山大学の三村聡副学長が発言し、地域の特性を活かしたイノベーションの促進策について述べました。彼は「このシンポジウムは地域の社会変革への第一歩だ」と確信を持って締めくくりました。

当日は、CYBERDYNE社の装着型サイボーグ「HAL」のデモ展示や研究者によるポスター展示も行われ、参加者たちは活発に交流し、新たなコラボレーションの種を見出しました。