近年、企業における女性管理職の割合が急速に増加し、平均10.9%を記録しました。これは、調査開始以来初めての10%台突破です。政府は、2020年代の早期に30%程度を目指すとしていますが、現実には依然として多くの企業が課題を抱えているのが現状です。
実施された調査によると、女性管理職が30%を達成している企業は11.4%に上昇しました。これは過去最大の増加幅を示し、女性登用のための企業の取り組みが少しずつ実を結んでいることを示しています。しかし、役員が全員男性という企業は依然として52.4%を占めており、女性活躍推進のための課題は多く残されています。
調査は全国で2万7,191社を対象に実施され、有効回答企業数は11,282社に及びました。調査の結果、女性管理職の割合が特に大企業においては7.6%と低く、一方で中小企業では11.5%、小規模企業においては14.4%と高い数字を記録しています。この傾向は、企業の規模が小さいほど女性が登用されやすいことを示唆しています。
さらに業界別に見てみると、女性従業員が多い小売業が19.4%で最も高く、続いて不動産業、サービス業、農林水産業が上位に位置しています。このような結果は、職場の文化や業種の特性が女性の活躍に直接影響を与えていることを反映しているといえるでしょう。
今後の見通しについては、32.7%の企業が女性管理職の割合が増加する見込みです。特に大企業では65.0%が増加を予想しており、企業の意識改善が進んでいることがわかります。しかし、女性役員の増加が13.0%と控えめな数字である点は、まだまだ改善の余地があることを示しています。
具体的な取り組みとしては、「性別に関わらず成果で評価」が61.2%で最も多く、企業がいかにして男女平等に向けた環境を整備しているかがわかります。その他の施策として、女性の育児・介護に対する支援や就業時間の柔軟化が上位に並ぶものの、それらは全体としては依然として低い数値であり、特に女性のキャリア支援は未だ満足のいくレベルには達していません。
このような状況の中で、女性管理職の増加の障壁として挙げられるのが、「家庭と仕事の両立のしづらさ」です。54.4%の企業がこの意見に同意しており、日本社会に存在する性別役割分担意識も38.5%と高い数値を示しています。さらに女性自身の昇進を望まないことや、候補者が足りないことなども課題として挙げられました。
企業の声としては、女性が妊娠や育児によって長期的に働けないことでキャリアや経験が足りない現状が不利に働いているという指摘や、子育てや介護の負担が女性に偏っている現実が課題視されています。中小企業では、社員の育休が人員不足につながり、採用コストの増加を懸念する意見もあるようです。
今後、企業は女性が活躍しやすい環境を整備することが求められます。政府には女性の昇進や求める役割に対する意識改革を進める取り組みが期待されます。家庭と仕事の両立が実現できる環境を整えることで、女性の社会進出が促進され、結果として企業の競争力向上にもつながるでしょう。
この調査の結果は、女性管理職の割合が上昇する一方で、課題も多く残されていることを明らかにしています。今後、男女ともに働きやすい環境を作るため、企業の取り組みが継続して求められるでしょう。