2025年の新入学支援に向けた経済的困難世帯の実態調査
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施した最新の調査によると、2025年の中学校や高校への進学を控える世帯の経済的な負担が一層深刻化しています。
この調査は、経済的に困難な状況にある家庭を対象に行われ、全国47都道府県から2,135名の回答を元にしたものです。調査の結果、卒業や入学準備にかかる費用が家計に大きな影響を与えていることが明らかになりました。特に高等学校に進学する子どもを持つ世帯では、借入金の額やその返済期間が前年よりも増加しており、「高校授業料無償化」政策では十分な支援がなされていない実情が報告されています。
調査結果の概要
有効回答者の中から浮き彫りになった主なポイントは以下の通りです。
新しい学年度に向け、多くの世帯が特にパソコンやタブレットといった設備の購入に強い負担を感じています。新中1世帯では21.1%、新高1世帯では56.3%がこの費用を捻出することが困難と回答しました。これらは前年に比べてそれぞれ4ポイント、9ポイントの増加です。
約6割の保護者が卒業・新入学準備のために生活費を削るという厳しい選択をし、「親自身の食事量を減らしている」と答えた割合は71.3%にも達しています。これは前年よりも約7ポイント増加しており、心配の声が高まっています。
約3人に1人の保護者が、卒業・新入学に必要な費用を借入で賄っていることが判明しました。その中でも新高1世帯では約58.3%が11万円以上の借入を行い、返済期間が1年以上にわたる世帯が約59.7%という結果になっています。これらの数字は前年比で増加していることからも、厳しい経済状況が見て取れます。
政策提言
調査結果を受けて、セーブ・ザ・チルドレンは以下の4つの支援策を国や自治体に提言しています。
1.
学用品の選択制の導入: 同じ学用品でも、購入先や価格の選択を可能とし、家庭の負担を軽減するための早急な見直しを求めています。
2.
パソコン・タブレット代の助成拡大: 現行のGIGAスクール構想では中学校では端末が無償提供されていますが、高校入学時の負担は依然として重く、多くの家庭に影響を及ぼしています。このため、助成の拡大や端末の貸与制度の導入を求めています。
3.
既存制度の拡充: 特に高校生に対する支援の充実が必要で、昼食費や通学費への補助が求められています。
4.
高校入学前の準備金の創設: 現在の支援制度では、高校入学に際しての直接的な支援が不足しており、早急に具体的な金額や方法を検討すべきだとしています。
経済的困難がある家庭にとって、子どもの教育が脅かされている現実があります。セーブ・ザ・チルドレンはこの問題に取り組むため、更なる調査を進め、実効性のある支援策を国や自治体に提案し続けることが必要です。これからも、厳しい状況にある子どもたちの学ぶ権利が守られることを期待しています。