チャイルドシート使用の実態と親の意識
最近、CTP JAPAN株式会社が実施した調査によって、日本の親たちのチャイルドシートに対する意識と実際の行動の間に大きな隔たりがあることが明らかになりました。調査は3歳から12歳までの子どもを持つ1,000家庭を対象に行われ、小児科医の山中龍宏氏の監修のもと、チャイルドシートの使用実態が探られました。
1. チャイルドシート使用の現状
2024年9月から、日本自動車連盟(JAF)がチャイルドシートの使用目安を「身長140cm未満」から「身長150cm未満」に引き上げることが発表されました。この改定は子どもたちの安全を守るために必要な措置として多くの注目を集めています。
調査結果によると、6歳未満の子どもに対しては約6割の家庭がチャイルドシートを「常に使用していた」と回答しましたが、6歳を超えた子どもに対してはその割合が約2割に減少しました。このことから、依然として「6歳」という年齢基準が大きな影響を与えていることがわかります。
2. 認識の不足と卒業のタイミング
多くの親が、JAFが新たに推奨する「チャイルドシートは身長150cm未満まで使用」が浸透していないことも明らかとなりました。約4割の親がこの基準を知らず、また約2割は知っていたものの、チャイルドシートを卒業させる決断をしたと回答しています。このように、チャイルドシートの使用に対する意識はまだまだ不十分であり、誤った認識が危険な結果を招く可能性があります。
3. 使用をやめる理由
調査中に明らかになったのは、多くの親が「安全」以外の理由でチャイルドシートを卒業させているということです。子どもが嫌がったり、体格に合わなくなったりするといった理由が多く見られました。そんな中で、親たちが「いつまでチャイルドシートを使用すべきか」と悩む様子が伺えます。
4. 安全情報の必要性
親たちが最も知りたい情報として挙げられたのは「事故事例」です。約4割以上の親が具体的な事故事例を知ることが、チャイルドシートの使用に踏み切る決め手だと回答しました。これにより、親の安全意識を高めるための具体的なリスク情報が求められていることが分かります。
5. 親の安全に対する意識
驚くべきことに、8割以上の親が「子どもの安全のためであれば年齢に関係なく150cm未満であればチャイルドシートを使い続けるべきだ」と認識しています。この結果から、法律や制限がなくなったとしても親たちの安全への関心は非常に高いことが窺えます。
6. 調査の意義と今後の課題
調査を通じて明らかになったのは、チャイルドシートに使用義務は「6歳未満まで」である一方、多くの親が身長150cm未満までの使用を必要と感じているという点です。この矛盾は、今後の制度改善や啓発活動において解決すべき重要な課題であると言えます。
小児科医の山中龍宏氏も、身体を固定するシートベルトとチャイルドシートの使用法の違いをしっかり理解し、身長を基準にした安全意識を持つことの重要性を訴えています。
まとめ
今回の調査を通じて、親たちのチャイルドシートに対する意識の変革が求められていることが浮き彫りになりました。チャイルドシートの使用基準を年齢ではなく身長に基づく判断へと変えることで、より多くの子どもたちの命を守ることができるでしょう。さらなる啓発活動と制度改善が一層の必要性を持つことを、私たちは強く再認識すべきです。