オムロンが切り開く「心疾患発症ゼロ」の未来
オムロン ヘルスケア株式会社は、脳・心血管疾患の発症をゼロにするための画期的な循環器事業のグローバル戦略を発表しました。2025年に向けたこの新しい取り組みは、心疾患の早期発見と重症化予防が鍵となる「Going for ZERO」ビジョンに基づいています。特に、インドでのAIを活用した心電図解析サービス「Insta ECG」を展開するトライコグへの投資拡張や、日本市場におけるJSRからの「Heartnote®」事業承継を通じて、医療現場での介入を強化します。心疾患の発症率が世界的に増加する中、オムロンは革新的な技術と戦略的なパートナーシップを駆使し、確実な医療介入を目指しています。
心不全パンデミックの現実
現代では、心疾患が世界の主な死因となり、年間約910万人がこの病気で命を落としています。高齢化が進む中で心不全が急増する「心不全パンデミック」が重要な医療課題として浮上しています。例えば、アメリカでは心不全患者数が2030年までに800万人に達する見通しです。このように、心疾患は前触れなく発作を引き起こすことが多いため、早期の発見と迅速な治療が不可欠です。しかし、循環器内科医や心臓血管外科医の数が減少しているため、医療リソースの不足が問題視されています。
革新とパートナーシップで進化する循環器事業
オムロンの代表取締役社長、岡田 歩氏は「心不全パンデミックや循環器専門医の不足といった深刻な医療課題を解決するためには新たなアプローチが必要です」と強調しました。家庭用血圧計の累計販売数が4億台を超えた実績を踏まえ、今後は心電図関連の開発と提供範囲を拡大していきます。特に、家庭向けから医療機関での使用に移行することで、不整脈の検査や診断のプロセスを改善しようとしています。
日本市場における「Heartnote®」戦略
2026年から、オムロンはJSR株式会社から長時間ホルター心電図検査サービス「Heartnote®」を受け継ぎます。このサービスは、日本の高齢社会に特化したデバイスによって、7日間にわたる心電図の連続記録が可能です。このモニタリングにより、従来の短期間での解析では発見が難しかった不整脈の検出率を向上させます。患者と医療現場の負担を軽減し、より多くの人々に質の高い医療を提供することが期待されています。
インドでのAI導入による心電図ソリューション
今後のグローバル展開として、オムロンはインドのトライコグ社に追加投資を行い、AIを活用した心電図解析サービスを強化します。特にインドでは、心疾患患者は急増していますが、循環器専門医の数は深刻な不足が見られます。トライコグは、AIを用いた解析システムで医師に診断レポートを提供し、診断精度を高めることを目指しています。この提携により、家庭での健康管理が進化し、患者自身が自宅で心疾患ケアを受ける文化が育まれることが期待されています。
結論:未来に向けた新たな戦略
オムロンは、革新的なデバイスとパートナーシップによるデータソリューションサービスを通じて、心疾患リスクの早期発見と持続的な管理を実現し、「Going for ZERO」のビジョンを具体化していく考えです。これにより、世界中の人々の健康に貢献する新たな未来を見据えた挑戦が続いていきます。