シェフラーが北米市場向けデュアルインバーターを受注
シェフラーが、北米の自動車市場でデュアルインバーターの大規模受注を獲得したことを発表しました。このニュースは、同社のパワートレイン電動化戦略における重要なマイルストーンであり、今後の成長を示すものです。
デュアルインバーターとは?
今回のデュアルインバーターは、補機類の電動ドライブを制御し、さらに200kWを超える出力を持つ電動ドライブモーターを駆動するトラクションインバーターとしての機能を兼ねています。特に人気が高い電動ピックアップトラック向けに設計されており、効率的な電動モビリティの実現に貢献します。
この製品は、シェフラーの戦略的パートナーであるonsemi社の高効率な炭化ケイ素(SiC)技術が採用されており、プラグインハイブリッド車(PHEV)のEV走行距離を延ばす役割も果たします。本インバーターは、米国イリノイ州ディアパークの拠点で設計・開発が行われ、契約期間中には約100万台の出荷が見込まれています。
技術の革新と評価
シェフラーのE-モビリティ事業部を率いるトーマス・シュターレCEOは、「この受注は、我々のインバーターエキスパートが厳しい要件を満たしながら、短期間で高度なデュアルインバーターを完成させた結果です。プラグインハイブリッドピックアップトラックに供給できることを誇りに思います」と語っています。
また、onsemi社のCEOハッサーン・エルコーリー氏は、「我々の炭化ケイ素技術をシェフラーのデュアルインバータープラットフォームに統合することで、次世代の電動モビリティ推進に向けた新たなスタンダードを確立することができる」と自信を持って伝えました。
開発の難題と解決策
デュアルインバーターの開発においては、OEMからの厳しい仕様要件を満たすため、様々な課題が存在します。特に、インバーターユニットごとの要件は異なり、スタータージェネレーターは従来型のシリコンIGBTを使用し、小型電動モーターを制御する必要があります。それに対し、高電力密度と効率を求めるトラクションインバーターは、onsemiの炭化ケイ素MOSFETを採用することでこれを実現しました。これにより、高速なスイッチングを低損失で行うことが可能となり、EVの走行距離向上に寄与しています。
まとめ
シェフラーは、今回の受注によって北米市場における地位を更に強化し、将来の電動モビリティの発展に寄与することが期待されています。今後、シェフラーは自社の製造拠点において2027年末までに量産を開始し、さらなる技術革新を目指していくでしょう。シェフラーのイノベーションは、持続可能な未来を見据えた重要な一歩を踏み出しているのです。