老舗和菓子屋「お亀堂」がコロナ禍を乗り越えた挑戦と革新の軌跡
愛知県豊橋市で70年以上にわたり営業を続ける老舗和菓子屋「お亀堂」が、2023年のコロナ禍において大胆な事業改革を行い、2024年には過去最高益を達成しました。この成功の背景には、消費者の変化への敏感な対応、新しいトレンドを取り入れた商品開発、そしてメディアやSNSを駆使した情報発信があります。
事業承継と新たなスタート
2023年2月、新型コロナウイルスの影響が広がる中、「お亀堂」は事業承継を行い、革新的な取り組みを決意しました。和菓子市場の厳しい現実を打破するため、消費者ニーズの変化—特に「プチ贅沢志向の高まり」—に応じた製品を展開することが急務とされました。
コラボレーションによるイノベーション
「お亀堂」は企業とのコラボレーションを活用し、ユニークな商品を次々に発表しました。例えば、有楽製菓とのコラボによる「ブラックサンダーあん巻き」は、若者向けの新しいスイーツとして評判を集め、店舗にとって新しい顧客層を開拓する大きな要因となりました。この商品は、ザクザク感のあるブラックサンダーと、もっちりしたあん巻きの皮が絶妙に組み合わさり、新たな食体験を提供します。また、ジェイアール東海フードサービスとの協働で生まれた「ぴよりんあん巻き」は、地域の養鶏業を支援する一方で、開始からわずか1か月半で20,000個のうずら卵を購入するという成果を上げました。
さらに、地域の青果市場や生産者とのコラボによって、規格外品を使った新しい和菓子の開発も行いました。例えば、豊橋のサツマイモやいちじくを使用したお菓子は、地元産品を生かした美味しさとともにエシカルな商品として注目を集めています。
SNSを活用した情報発信
従来、和菓子業界では難しいとされていた情報発信を、SNSを通じて積極的に行いました。特にX(旧Twitter)では、2020年に投稿した花見団子の動画が再生数日本一を記録し、多くのユーザーにアプローチ。インスタ映えを重視した商品開発も行い、若年層の興味を引く新しい和菓子の提案を続けました。⏳生いちごミルク爆弾大福や干支のデザインをあしらった和菓子など、独自の切り口で商品展開を進めています。
プレスリリースとメディア露出の効果
2023年には、NHKやテレビ朝日、新聞などにおいて22回以上の露出を果たしました。この数々の媒体を通じて情報を発信し、一般の消費者にも「お亀堂」の存在を広めていきました。特に、PR TIMESによる掲載が評価されるなど、メディアからの認知も高まり、ビジネスチャンスが広がっています。
地域生産者との連携を長期的に
今後「お亀堂」は、最高級の食材を用いた付加価値の高い商品開発を目指し、地域コラボによる活性化や食品廃棄問題への取り組みも進めていく方針です。消費者のニーズを常に捉え、革新を続けることで、和菓子文化を次の時代へと繋げることを目指しています。
「お亀堂」はただの和菓子屋ではなく、地域と共に成長する企業であり、未来の和菓子を牽引する存在です。