カフェインレスコーヒー市場の伸長と新たな飲用スタイルの拡大

UCC上島珈琲株式会社は、自社のカプセル式ドリップコーヒーシステム「ドリップポッド」を活用して、カフェインレスコーヒーの消費者実態を調査しました。この調査では、20代を中心に広がるカフェインレスコーヒーの需要が浮き彫りにされ、特に今後は「カフェインマネジメント」と呼ばれる新たな飲用スタイルが注目されています。

カフェインレスコーヒー市場の現状

最新の調査データによれば、カフェインレスコーヒー市場は2020〜2024年にかけて年平均成長率9.4％で成長しており、市場規模は約1.5倍に拡大しています。しかし、日本では未だにカフェインレスを「妊産婦が仕方なく選ぶもの」「普通のコーヒーに比べて味が物足りない」といったネガティブなイメージを持つ人も多いことがわかりました。実際の飲用シチュエーションを探るために、同社は約5438名を対象に調査を実施。

飲用実態とイメージの差

調査によると、月1杯以上コーヒーを飲む人のうち、カフェインレスコーヒーの飲用経験者は半数以下であることが判明。特にカフェインレスコーヒーを週1杯以上飲用している人は、健康や美容に関するポジティブなイメージを持つ傾向にある一方で、あまり飲まない層は「味がおいしくない」「薄い」といったネガティブな思いを抱いていることがわかりました。このことから、カフェインレスコーヒーを定期的に楽しんでもらうためには、味わいに満足できることも重要な要素と考えられます。

20代のコーヒー消費のトレンド

調査結果からは、20代では約7割がカフェインレスコーヒーを飲んだことがあり、週1杯以上飲用している人も多いことが確認されました。また、男女性で比較すると、男性の方が利用頻度が高い傾向があり、特に20代においてカフェインレスコーヒーはマイナーな選択肢ではなくなっています。この風潮の背景として「カフェインマネジメント」の意識が浮かび上がります。

「カフェインマネジメント」とは、日々のカフェイン摂取量を意識的に調整するスタイルで、20代の約半数が実施していると回答。さらに約7割が関心を持ち、カフェインの摂取を意図的に管理することに対する高い関心が示されました。

健康への意識の高まり

また、カフェインレスコーヒー飲用者に理由を尋ねると、最も多い回答が「カフェインの取りすぎが体に良くないから」となり、20代においては「睡眠の質を高めたい」「美容に良さそう」という理由も人気でした。一方、30代以上になると「睡眠の質」を重視する傾向が強く、年齢と共に「実際の不調からカフェインレスを選ぶ」という実利的な理由にシフトしているようです。

SNSの影響と具体的行動

実際に「カフェインマネジメント」を実践している人は、主に時間帯やカップ数を工夫して調整していると報告しています。多くは、昼過ぎからカフェインを意識し始め、2杯目以降で選択を変える人が多いようです。調査によれば、特に20代の女性は美容系インフルエンサーの影響を受けていることが多く、SNS上での情報発信が重要な役割を果たしていることがうかがえます。逆に、30代以上では体調の不調をきっかけにカフェイン摂取を控えるようになった人が増えています。

ハードルと今後の展望

一方で、「カフェインマネジメント」を始めたくても、価格が高い、商品を見かける機会が少ない、そして「カフェインレスはおいしくないのではないか」という不安が大きな障害となっています。カフェインレスコーヒーに対して好印象を持っている一方で、実際には手に取りたくても躊躇しているケースが多いことが調査から明らかになりました。

今後の展望として、UCCは2025年11月5日に新製品「カフェインレスモカ＆ブラジル」を発売する予定です。同製品と共に、既存のカフェインレスコーヒーカプセルもリニューアルし、より多様な選択肢を提供することで、カフェインレスコーヒーの魅力を一層広めていく考えです。

カフェインレスコーヒーは、かつてのネガティブな印象を覆すチャンスを迎えています。健康や美容を意識した選択肢として、多くの人々に受け入れられ、日常の中でカフェイン管理をうまく取り入れる「カフェインマネジメント」が次世代のコーヒー文化を形成するかもしれません。