ユーグレナが飼料に!ニワトリの成長を促進する研究
国立大学法人宮崎大学、株式会社ユーグレナ、あすかアニマルヘルス社が共同で実施した研究において、微細藻類ユーグレナを配合した飼料がニワトリの成長を促す可能性が示されました。この研究では、ニワトリに対する新しい飼料の利用方法としてのユーグレナの可能性が探求されています。
研究の背景
近年、畜産業界では動物の健康を保ちながら、効率的に成長を促すための飼料の開発が重要視されています。特に国際連合食糧農業機関(FAO)は、抗菌剤の使用を減らすことで動物の健康を向上させる飼料の利用を推奨しており、その一環として新しい栄養源の探求が進められています。このような流れの中で、ユーグレナを飼料として用いる可能性が注目を集めています。
研究の目的
本研究の目的は、ユーグレナを含む飼料がニワトリの成長に与える影響を評価することです。特に成長を促進する成分パラミロンに注目し、その効果を検証しました。これまでの研究から、ニワトリにパラミロンを配合した飼料を与えることで免疫機能が向上する可能性が示されており、これに基づきユーグレナそのものを飼料に利用することを目指しました。
研究の手法
今回の研究では、生後7日齢のニワトリ(品種: Ross308)を使って、様々なユーグレナ粉末の配合量(0.05g、0.1g、0.3g)で飼料を給与し、その効果を21日間にわたって観察しました。評価項目は、体重増加と飼料要求率(体重に対する飼料の摂取量の比率)です。
研究の結果
1. ユーグレナの給餌による成長促進
試験開始から2週目および3週目において、0.3gのユーグレナを給与した群の平均体重は、コントロール群との差が有意に高いことが確認されました。これは、ユーグレナがニワトリの成長を促進する効果があることを示しています。
2. 飼料要求率の改善
飼料要求率についても、ユーグレナを与えた群ではコントロール群に比べて低下しました。このことは、ユーグレナを用いた飼料がより効率的に成長を助ける可能性を示唆しています。
考察
これらの結果から、ユーグレナを飼料に加えることでニワトリの成長が促進されるだけでなく、飼料の効率も改善されることが分かりました。ただし、どういったメカニズムによってこのような効果が出ているかは本研究だけでは解明できず、今後の研究が必要です。ユーグレナには豊富な栄養素が含まれており、その栄養バランスや相互作用が影響している可能性があります。
未来への展望
研究チームは、今後もユーグレナを用いた飼料がニワトリだけでなく、他の家畜にも有用である可能性を探求し続けます。持続可能な畜産業を目指す中で、こうした新たな飼料素材の導入は、多くの期待が寄せられています。
宮崎大学、ユーグレナ社、あすかアニマルヘルス社について
宮崎大学は、地域に根差した教育や研究を展開し、さまざまな分野の融合を進めています。一方、ユーグレナ社はユーグレナの商業化を進め、多岐にわたる社会課題の解決に取り組んでおり、あすかアニマルヘルス社も動物の健康と安全な食の提供に貢献しています。これらの組織が連携し、新たな挑戦に取り組む姿勢は、未来の畜産業に対する希望を与えてくれます。