大阪・関西万博の新たな挑戦
2025年に開催される大阪・関西万博に向け、大阪府周辺の海域で新たな試みが始まります。東洋製罐グループホールディングスの連結子会社である東洋ガラス株式会社と株式会社不動テトラが共同で提案した「イオンカルチャープレートを用いたワカメ場造成事業」が「大阪府万博会場周辺海域ブルーカーボン生態系創出事業」として採択されました。このプロジェクトは、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に基づき、会場周辺海域にブルーカーボン生態系を創出することを目的としています。
ブルーカーボン生態系とは?
ブルーカーボンとは、海洋生態系において炭素を貯蔵する能力を指し、海藻やマングローブ、塩湿地などがその代表的な例です。これらの生態系は、地球温暖化対策として非常に重要で、その保全と再生は持続可能な社会の実現に不可欠と言われています。大阪湾の海域は、栄養塩が豊富に存在する一方で、鉄分が不足していると言われており、イオンカルチャープレートを用いた取り組みが注目を浴びています。
イオンカルチャープレートの役割
この事業において使用されるイオンカルチャープレートは、海藻の成長を促進するための特殊なガラス製品です。具体的には、海藻の生育に必要な成分である二価鉄、ケイ酸、リン酸イオンがゆっくりと水に溶け出すように設計されています。これにより、藻場の形成が促進され、大阪湾に新たな生態系が築かれます。
プレートの特徴としては、テトラポッドに簡単に取り付けられ、約3〜10年間にわたって必要な成分を持続的に供給できる耐久性を持っています。全国60カ所以上で実績があり、港や岸壁での利用が進んでいます。
プロジェクトの具体的な進行
本事業の具体的な進行は、2024年12月に設置を開始し、設置後は年に2回の潜水目視観察で藻場の生育状況を調査します。対象となる海藻はワカメで、延長150m、幅2mの面積で、春から夏にかけて25%〜50%の被度を目指しています。ワカメを育てるためには、スポアバッグと呼ばれる天然素材で作られた網袋にワカメの種糸や母藻を入れ、イオンカルチャープレートの周囲に設置することで、胞子供給源を確保します。
長期的な目標と将来のビジョン
本プロジェクトは大阪湾の環境改善だけでなく、万博を通じた海洋環境の重要性を国内外に広めることを狙いとしています。東洋製罐グループは、長期経営ビジョン2050に基づき、地球環境に配慮した持続可能な社会の実現を目指して活動しています。このような取り組みは、地球温暖化対策の一環としても注目されており、社会全体にとっても意義深いものとなります。
このプロジェクトが成功すれば、大阪湾の生態系が復活し、持続可能な未来につながるかもしれません。万博までの道のりに注目しましょう。