角幡唯介が描く新しい人間論、『43歳頂点論』
この度、探検家で作家の角幡唯介さんが新たに著した『43歳頂点論』が、11月17日に新潮社から発売されました。本書は彼が自身の探検経験を踏まえつつ、人生における「ピーク」が何であるのかを考察した一冊です。
人生のピーク、体力と経験の関係
著者は、20代の頃には年上の人々が「体力の衰えは経験でカバーできる」と言った言葉に対し、心の中でその考えを否定していたと語ります。しかし、40代後半に差し掛かると、その言葉が真実であることを実感することになります。体力と経験の融合こそが、人生の質を高める要素だと気づいたのです。
著者は特に、彼自身がグリーンランドのエルズミア島まで犬橇旅行を行った経験を通じて、おそらく彼が最も身体的に衰え始めた時期に、これまで考えられなかったような大きな成果を達成できたことを強調します。このように、年齢に応じて変化する体力と経験のバランスが人生の峰を成すとしています。
なぜ名だたる冒険家は43歳で命を落とすのか?
著者は、植村直己や河野兵市など、名だたる冒険家たちが43歳という同じ年齢で命を落とすことに注目します。その背景にあるのは、一見すると矛盾した体力の衰えと経験の増加という状況が生み出す「魔の領域」です。この「43歳の落とし穴」についての議論は、本書の中でも特に興味深く深掘りされています。
50代が楽しみな理由
著者は43歳を過ぎた今、50代を迎えることへの期待感を持っているといいます。「今が一番楽しい時間」と感じることができる理由は、ピークを超えることによって新たな視野が開けるからだと語ります。彼の言葉からは、年代を重ねることの美しさと価値が感じられます。
トークイベント開催
『43歳頂点論』の発売を記念して、角幡唯介さん自身が登壇するトークイベントが実施されます。
- - 日程: 11月18日(火)
- - 場所: 本屋B&B
- - 出演者: 角幡唯介、政治学者 栗原康
また、12月13日(土)には「なぜ冒険家は43歳で死ぬのか」と題したトークイベントも予定されています。冒険や人生についての深い話を聞く貴重な機会となるでしょう。
まえがきより
本書のまえがきには、「四十三歳が人生の全盛期である」との名言が記されています。この考えは著者自身の経験に基づくものであり、非常に示唆に富んでいます。年齢に対する偏見を取り除き、自らの年齢を受け入れて新たな挑戦をする勇気が求められています。
書籍詳細
本書は240ページにわたり、探検の成果を通じて人間の成長や衰退について考察しています。著者である角幡唯介は、多くの冒険を通して得た知識を基にこの一冊を執筆しました。
- - 出版社: 新潮社
- - 判型: 新書判
- - 定価: 1,034円(税込)
- - 発売日: 2023年11月17日
ボリューム感のある内容をぜひ手に取って読んでみてください。人生をさらに豊かにするヒントが、角幡唯介の言葉の中に潜んでいます。