アレルギー低減卵を活用した新たな菓子メニューの可能性
キユーピー株式会社は、鶏卵アレルギーに配慮した食材「アレルギー低減卵」を用いた菓子メニューの開発に注力している。この研究は、東京都渋谷区に本社を構える同社が2013年から広島大学と連携して行っている基礎研究から始まった。アレルギー低減卵の特性を活かし、卵・乳・小麦を使わずに美味しく楽しめるお菓子の開発が目指されている。
ゲノム編集技術による効果
この新たな卵は、ゲノム編集技術を使って特定のアレルゲンを取り除かれており、アレルギーを引き起こしにくい特性を持っている。特に、熱に強いタンパク質(オボムコイド)が除去されることで、アレルゲン性を大幅に低下させることができる。これにより、通常の卵を使ったメニューと同等の美味しさを保ちながら、アレルギー患者にも配慮した安全な食品を提供できる可能性が高まっている。
研究の成果と発表予定
キユーピーの研究結果は、2024年9月6日から7日に開催される一般社団法人日本調理科学会2024年度大会で発表されることが予定されている。その中で、開発されたクッキーやプリンが、アレルギー低減卵を使用しても美味しさを損なうことなく、低アレルゲンであることが示されている。特に子どもたちに人気の高いお菓子メニューとして位置づけられており、今後の展開に期待が寄せられている。
メニューの開発プロセス
この研究では、アレルギー低減卵を粉末化した「加熱全卵粉」や、そのまま使用する「液卵」を用いて、クッキーやプリンのレシピが試作された。具体的には、加熱全卵粉を使ったクッキーは、通常の卵を使ったものと同様の美味しさを保ちつつ、アレルゲン性が非常に低い結果となった。一方、液卵を使ったプリンも、わずかな硬さが感じられるものの、全体の味わいには大きな差が見られなかった。
アレルゲン対策とおいしさの両立
鶏卵アレルギーを持つ方々は、他の食物アレルギーを併発することもあるため、キユーピーでは卵・乳・小麦に配慮した食材選びを重視している。研究の結果、子どもたちに好まれるクッキーやプリンが、アレルゲン性の少ない食材でありながらおいしいという特性を持つことが示された。また、通常の卵を用いた場合と比較しても、アレルギー低減卵は美味しさをキープできることが実証され、日々の食生活に潤いをもたらす食品としての可能性が広がっている。
社会への貢献と未来の展望
キユーピーグループは、食材の多様性を尊重し、アレルギー患者が安全に楽しめる食品を提供する取り組みを進めている。今後もアレルギー低減卵の研究を継続し、食の選択肢を拡大させるための努力を続けていく。その姿勢は、これからの社会においても重視されるべきテーマであり、美味しさと安全性を両立させる成果は、多くの人々に希望をもたらすことだろう。