近視に対する保護者の意識調査が示す日本の未来
近視の問題は、近年増加傾向にあり、特に子供たちにとって深刻な健康リスクを伴うことが明らかになっています。参天製薬株式会社が実施した意識調査によると、小中学生の保護者の大多数がこの問題に対して高い関心を持っている一方で、十分な知識を持たない現状も浮き彫りになりました。
調査概要
この調査は、2024年6月7日から6月13日の期間に、2,451人の小中学生を持つ保護者を対象にオンライン形式で実施されました。参加者は、小学生と中学生それぞれの保護者で構成され、視力検査の結果に基づいて分類されました。調査結果は、近視が児童の健康に与える影響や、保護者のQuality of Life(生活の質)への影響を実証しています。
調査結果のハイライト
1. 近視の関心と知識不足
調査結果によると、8割以上の保護者が近視の予防や健康リスク、治療法に関心を持っている一方で、7割以上がその知識について不十分であると回答しました。
特に、「日常生活で気をつけること」については9割以上が関心を示し、その後に続くのは「将来の目の健康に与えるリスク」や「治療方法」です。しかし、知識については過半数が自らの認識を低く見積もっています。
2. 将来への不安
調査のもう一つの重要な発見は、保護者の8割が児童の将来の近視に不安を感じているということです。この不安の理由として最も多くの回答が寄せられたのは「近視がどの程度進行するかわからないから」という意見でした。そのほかにも経済的負担や学力低下などへの不安も表れ、全体の6割以上がこれらの要因に懸念を持っています。
3. 医師からの説明不足
医師から説明してほしい内容のトップは「治療法」で、50%以上が希望しましたが、実際には18%近くの保護者がその内容についての説明を受けていないとの結果も出ました。これは、医療提供者とのコミュニケーションにおいて改善が求められる点です。
4. 視力低下とQOLへの影響
調査の結果、視力が低下している児童を持つ保護者は、QOLスコアが明らかに低下している傾向が見受けられました。視力判定がD評価のケースでは、保護者のQOLスコアが75.63と、視力が良好な保護者(80.18)に比べて著しく低いことが確認されています。これは近視の進行が生活の質に直接影響を与えることを示しています。
専門家の見解
伊丹中央眼科の院長である二宮さゆり氏は、「近視は眼球の形状に起因するものであり、その進行には注意が必要です。今回の調査によって、多くの保護者が高い関心を持っている一方、知識が不足しているという課題が浮き彫りとなりました。近視に関する情報が更に普及することが、保護者の不安を軽減し、児童の健康を守ることにつながるはずです。」と述べています。
今後の展望
近視を持つ児童が明るい未来を過ごすためには、知識向上と医療の支援が不可欠です。眼鏡やコンタクトレンズによる矯正に加えて、近視に対する正しい情報の伝達が急務です。今後、教育や生活習慣の改善が進むことで、多くの子供たちがより健康的な視力を保てるようになることを期待します。
この調査は、保護者自身のQOLを高めるためには何が必要かを問いかける重要な機会でもあり、今回の結果を基にさらなる施策を検討することが求められるでしょう。