衛星データとAIが切り拓く新しい地図の未来
日本国内の地図整備に革新をもたらす、新たな技術が登場しました。株式会社スペースシフトとジオテクノロジーズ株式会社は、合成開口レーダー(SAR)衛星データとAIを駆使した「建物変化抽出ソリューション」を共同開発することで、地図整備のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
地図整備の課題と背景
ジオテクノロジーズは、日本全国の広範な地域を対象に地図を継続的に更新している企業であり、この業務には膨大な衛星画像データが必要です。しかし、調達したデータの中には建物や道路に変化がない箇所も多く含まれているため、実際の整備に役立てることが難しいという課題がありました。こうした現状を受けて、変化の確認を効率化し、必要なデータを選定するプロセスの整備が急務とされていました。
スペースシフトとジオテクノロジーズの協業
スペースシフトは2017年から独自に開発した建物変化検知AIアルゴリズムを元に、ジオテクノロジーズと協力してこの技術を地図整備業務に適用する取り組みを始めました。特に2023年には全国の4分の1を対象にした大規模な実証実験が行われ、業務の効率化が確認されたことから、正式にこのソリューションが導入されることが決定されました。これにより、ジオテクノロジーズは、衛星データを用いて建物の新築や解体などの変化情報を提供する新たな整備フローを構築できるようになりました。
ソリューションの詳細
本ソリューションは、SAR衛星データをスペースシフトのAIが解析し、建物の変化を客観的に特定することが可能です。具体的には、全国各地の建物がどのように変化しているのかを定期的に把握することで、地図更新業務をより効率的に進めることができます。これにより、地図更新にかかるコストが13.2%削減され、さらに調達データに対する更新割合も従来比1.8倍に向上するとされています。
コメントと展望
ジオテクノロジーズのマップディベロップメントチームの担当者は、「スペースシフトの技術を導入することで、コストや効率性が大きく向上した」とコメントしています。今後も両社は連携を強化し、さらなる技術の向上と新たなサービスの開発を目指すとしています。
このような新しい技術は、今後の地図業務においてもさらなる進展が期待されるものです。地図整備のデジタル化は、より効率的な都市開発や災害対策、さらには持続可能な社会の実現に向けた重要な鍵となるでしょう。