新刊紹介
教科書の概要
理工学分野における最新の知見を集約した書籍、『PARI/GPで計算しながら学ぶ整数論・暗号理論・符号理論』が2025年8月29日に刊行されます。本書は、著者の鈴木英男氏によって書かれ、整数論、暗号理論、および符号理論を一体となって学べる貴重な教材です。現代の暗号技術の基礎を築く整数論に触れつつ、暗号や誤り訂正に関する理論も網羅されています。
デジタルでの学びの推進
近代科学社が運営するDigitalレーベルより発行される本書は、デジタル技術を活かしたオンデマンド型の出版スタイルを採用しています。これにより、最新の情報に基づく書籍が手軽に手に入る環境が整っています。詳細な内容については、近代科学社の公式ウェブサイトをご覧ください。
書籍の詳細
この教科書は、B5判でモノクロ印刷された文からなる382ページの内容です。印刷版と電子版の両方が用意され、定価はそれぞれ4200円(税抜)です。ISBNコードは印刷版:978-4-7649-0757-7、POD版:978-4-7649-6115-9となっています。これにより、読者は紙の書籍でもデジタルでも学習を進めることが可能です。
内容の充実
本書は3つの主要な章から構成されています。
1.
整数論 では、現代の暗号を支える数学的原理が展開されます。数の集合、群・環・体などの代数概念から始まり、ユークリッドの互除法や中国剰余定理などの重要な定理について解説されています。また、楕円曲線の演算やガロア体の仕組みについても詳しく解説されており、基礎から応用までの理解を深めることができます。
2.
暗号理論 の章では、現代暗号がどのように構築されるのか、その安全性を支える数学的課題に焦点を当てています。公開鍵暗号の原則や、具体的な暗号方式となる素因数分解問題、離散対数問題に対する理解が深まります。さらに、鍵交換プロトコルの詳細や、一方向性ハッシュ関数、暗号通貨の基礎についても触れられています。
3.
符号理論 では、誤り訂正技術の基礎知識が紹介されます。情報源符号化や通信路符号化に関連する様々な方法が、多彩な符号技術を用いて説明されています。LZ77符号、ハミング符号、Reed-Solomon符号など、幅広い技術を学ぶことができます。特に、QRコードの仕組みにも言及されており、実生活での適用例を学ぶことができます。
プログラミングを通じて学ぶ
本書の特色は、PARI/GPやSageMathを用いた多くのプログラミング例が提供されていることです。これにより、読者は計算プロセスを実際に体験しながら、アルゴリズムの動作原理や数学的性質を深く理解できるように工夫されています。これは、理論だけでなく、実践的なスキルも同時に身につけることを狙ったアプローチでもあり、教育的価値が高い内容となっています。
著者の紹介
鈴木英男氏は、三重県出身の学者で、東北大学大学院で博士号を取得された後、数々の教育機関で活躍されてきました。現在は東京情報大学で教授を務め、理工系の教育に尽力しています。彼の専門的な知識に基づいたこの教科書は、学生や研究者にとって必読の一冊となるでしょう。
これらの要点を踏まえ、鈴木氏の新たな教科書は、学生や研究者が理論を理解しやすくするための貴重なリソースとなることが期待されています。是非、手に取ってみてください。