コロナ後の日本における運動実施率の現状
日本におけるスポーツライフに関する最新の調査結果が、笹川スポーツ財団から発表されました。この調査は、全国の18歳以上の男女を対象に行われ、運動・スポーツ実施率などを定期的に把握する目的で実施されています。2024年6月から7月にかけて行われたこの調査では、ポストコロナの社会において、運動やスポーツの参加状況がどのように変化しているのかが明らかにされました。
調査結果の概要
新型コロナウイルス感染症が5類に移行後初めての調査となる今回、「スポーツライフ・データ2024」が発表されました。前年の2022年調査に比べて、運動実施率は再び減少し、約69.8%に留まっています。この数値は、2006年以来の低さであり、過去1年間にまったく運動をしなかった人が30.2%を占めています。これは、国民の3人に1人が運動から遠ざかっていることを示しています。
「する」スポーツの実施状況
「する」スポーツについてのデータでは、年1回以上の運動実施率が69.8%で、過去の調査と比べて大きく減少しました。この減少は、コロナ禍の影響が色濃く残っていることを示しています。特に、個人でできるエクササイズ(散歩や筋トレなど)は相対的に人気がありますが、運動環境や時間の確保が難しい人が多いようです。
観戦状況について
「みる」スポーツに関しては、直接観戦する率が26.2%と、コロナ禍前の2018年の31.8%から大きく減少しています。また、インターネットを通じての観戦率は24.2%で、こちらも着実に増加の傾向にあります。この結果から、観客としての参加も回復には程遠いことがわかります。
ボランティア参加率
加えて、「ささえる」スポーツについては、ボランティア活動の実施率が5.4%と、コロナ前の水準には戻っていないものの、やや回復傾向にあることを示しています。ボランティアの増加は、地域スポーツの支援において重要な動きですが、依然として参加者の割合は十分ではありません。
身体活動の傾向
調査によれば、日常生活における身体活動量は仕事が56.6%、移動が22.9%、余暇が20.5%という結果が出ており、仕事の割合が減り、移動の割合が増加しています。この変化は仕事と生活のバランスが取れなくなっていることを示唆しており、日常生活における運動の機会が減少していることが明らかになりました。
調査に対する見解
担当する研究者は、現在の調査結果を受けて「すべてのカテゴリーで今後の関与に足りる余裕がない人々が増えている可能性が高い」とコメントしています。一方で、コロナ禍の影響を逆手に取った運動環境の整備やサービスの充実を活用することで、健やかな生活の実現に向けた新たな道筋が見えてくるとも述べています。
この調査の結果は、今後のスポーツ政策や地域のスポーツ振興活動において重要な指針となるでしょう。運動をすること、見ること、支えることのすべてにおいて、より多くの人々が関わるための施策が求められています。調査結果は「スポーツライフ・データ2024」として、3月28日に刊行され、詳細は公式ウェブサイトでも確認できます。