障害者の声を集めた新たな出版の試み
新たに立ち上がった「TSUCHIYA PUBLISHING」は、障害や病の当事者からの声を集め、それをアーカイブして新しい形の書籍として世に送り出す出版社です。これまで十分に光が当てられてこなかった多くの当事者の声を「ひかるこえアーカイビング」と名付けて収集し、電子書籍として出版しています。
アクセシビリティの高い電子書籍の魅力
電子書籍は、視覚や運動に障害のある方々にとって特に便利なメディアです。音声読み上げや文字サイズの変更が可能で、寝たきりの方や上肢障害を持つ方々、さらには高齢者にとっても利用しやすいコンテンツとなっています。今後は、ナレーターの声で楽しめるオーディオブックの発売も予定されており、ますますのアクセシビリティ向上が期待されています。
設立と初刊案内
設立にあたって、最初に販売される書籍は、安積遊歩さんの『このからだが平和をつくる』と田中恵美子さんの『出会いの障害学』の2冊です。この出版に際し、TSUCHIYA PUBLISHINGの編集長である大山景子さんは、「いのちに、ふれる」というミッションのもと、障害や病に苦しむ方の声を大切にして伝えていくことの意義を語っています。
安積遊歩の著書
安積遊歩さんの著書は、重度の障害者が利用できる「重度訪問介護」制度について詳しく解説しています。どういった経緯でこの制度が作られ、どのように発展させるべきかがテーマで、障害者運動に参加してきた彼女だからこそ見えた、制度の重要性と実情を学ぶことができます。
田中恵美子の著書
田中恵美子さんの『出会いの障害学』は、障害が個人の身体に固有のものでなく、社会的な問題であることを掘り下げています。彼女自身の経験を通じて、障害者との出会いやそこでの出来事が如何にして彼女の研究に影響を与え、それを通じて何が見えてくるかを探る内容です。
ユニバーサルデザインの追求
2019年に成立した「読書バリアフリー法」により、読書に困難を感じる方々のための出版活動が見直されています。TSUCHIYA PUBLISHINGは、電子書籍やオーディオブックといった形で、よりアクセシビリティの高いメディア提供に取り組んでいます。これは、障害を持たない人も含めた多様な読者に向けた新しい試みです。
編集長大山景子さんの想い
大山さんは、これまでの経歴から重度訪問介護の仕事に携わり、様々な当事者の意見を聴くことの重要性を実感しました。彼女は「他者にふれることを大切にし、その体験を持つことが、我々の出版活動の根底にある」と語り、参加者と共に創り上げる出版文化を育てていくことに情熱を注いでいます。
最後に
TSUCHIYA PUBLISHINGは、障害や病の当事者を支えるために、彼らの声を大切にする新しい出版形態を生み出す場として、今後の展開が注目されます。ぜひ、最新の情報は公式ウェブサイトでチェックしてみてください。
TSUCHIYA PUBLISHING 公式サイト