日本の食文化を欧州へ広げる資本提携の新たな展開

日本の食文化をEU市場へ

英国で、ジャパン・フード・エクスプレス（以下、JFE）と全農の間で重要な資本提携が結ばれ、今後の日本食材の輸入販売に大きな期待が寄せられています。これは、全農が2016年に買収した英食品卸会社SFGホールディングスの過半数株式をJFEが取得するという形で実現しました。

この提携は、JFEが英国を基点に日本の食材の販売を強化するもので、同社はドイツにも拠点をもっており、欧州全土での事業展開が見込まれています。全農は少数株主として残り、今後の成長を支える存在として関与します。JFEは、新たなノウハウを活かし、SFGの売上高を現在の約63億円から5年以内に100億円に引き上げる計画を立てています。また、ロンドン証券取引所への上場も視野に入れ、さらに成長を図る考えです。

近年、欧州では新型コロナウイルスワクチン接種が進み、経済活動に明るい兆しが見え始めています。特にイングランド地方では、飲食業が活性化し、5月から飲食店の店内営業が再開されるなど、日本食レストランの需要は高まっています。

JFEの北林社長は、「英国市場の回復は絶好の機会であり、日本食レストラン以外のセグメントにも食材を広げていく」と述べ、今後の展望に自信を見せました。日本の農林水産省によると、2019年時点で海外にある日本食レストランは急増しており、特に欧州には1万2200店も存在します。健康志向の高まりが日本食をますます注目させており、欧州市場での成長が期待されます。

全農は、SFGを約10億円で買収し、その後の Brexit（英国のEU離脱）による混乱や新型コロナ禍で売上が伸び悩んでいました。しかし、商品販売のノウハウと広範な顧客網を持つJFEとの資本提携の実現により、再び欧州市場への食材輸出を拡大できるとの見込みです。この新たな協力関係が、日本の食文化の国際展開を支える重要な一歩となります。

日本食への関心が高まる中、JFEの果たす役割は今後ますます大きくなることでしょう。これからの欧州における日本食材の流通や、日本食文化の広がりに注目が集まります。