鉄ナビ検収AIが共英製鋼の業務を革新
株式会社EVERSTEEL(東京都文京区)は、共英製鋼株式会社(大阪市北区)の枚方事業所で、鉄スクラップを解析するAIシステム「鉄ナビ検収AI」の実運用を開始しました。この新技術の導入は、製鉄プロセスにおける効率と安全性を飛躍的に向上させる期待が寄せられています。
導入背景
共英製鋼は、鉄スクラップを原材料として利用し、電気炉でこれを溶融して鉄を生成する、いわゆる「電炉法」を採用する鉄鋼メーカーです。この方法は、鉄鉱石やコークスを用いる高炉法に対して約70%のCO2削減が可能で、環境意識の高まる現代において非常に重要な手法として認識されています。また、サーキュラーエコノミーの観点からも、鉄スクラップのリサイクルは経済的成長と持続可能な社会の実現に寄与します。
しかし、鉄スクラップには多様な素材が混在するため、不純物や危険物が含まれていたり、熟練の作業者による目視検査が必要だったりするため、品質管理には課題がありました。そこで、EVERSTEELはAIを活用した「鉄ナビ検収AI」を開発し、これが導入されることとなりました。
現状と今後の展望
「鉄ナビ検収AI」は現場での実運用を初めて迎え、鉄スクラップの納入データが自動で連携される仕組みを導入しました。このシステムは、品質チェックの標準化を目指し、作業者のスキルに依存しない解析を行うことで、異物検出精度の向上を目指します。また、2025年度内には、関東、名古屋、山口各事業所への導入も進めていく計画です。
EVERSTEELの代表取締役田島圭二郎氏は、「共英製鋼様の協力のおかげで、スケジュール通りに実運用を開始できた。今後も検収業務の品質向上に全力を尽くす」とコメントしています。
企業情報
共英製鋼株式会社は1947年に設立された鉄鋼メーカーで、大阪市に本拠地を構えています。持続可能な製造業のあり方を模索する中で、同社はAI技術の導入を推進し、製造効率の向上と環境負荷の軽減を目指しています。また、株式会社EVERSTEELは2021年に設立され、AI技術に特化した企業として急成長を遂げています。両社のコラボレーションは、鉄鋼業界に新しい風を吹き込むことでしょう。