リガクとPANECOの連携による持続可能な未来
リガク・ホールディングス株式会社と、廃棄衣類をリサイクルボード「PANECO®」に生まれ変わらせるプロジェクトが注目を集めています。今回の取り組みでは、古くなった旧制服が新たな価値を持つ製品へと生まれ変わる様子をお伝えします。
旧制服の自由化とアップサイクル計画の背景
2023年10月、リガクは就業時の服装を自由化しました。それに伴い、長年使われてきた事務服が廃止され、2024年9月には作業服も新しいデザインへと更新される予定です。この変革により、不要となった約2,000着の制服が生まれましたが、ただ廃棄するのではなく、新たな素材に再生させることが目的となりました。
このプロジェクトは、国連環境計画(UNEP)が報告する年間9200万トンもの繊維製品の廃棄という現状を受けたもので、リガクは旧制服を「資源」として捉え、環境負荷を軽減しつつ循環型社会の実現を目指しています。
アップサイクルプロセスの詳細
プロジェクトは5つのステップで行われました。各工程では福祉施設と連携し、手作業で細かい作業を行うことで、地域との共生を促進しています。
1.
回収・仕分け
使用済みの制服を回収し、状態によって美品や汚損品に分類し、52箱に梱包しました。その後、複数回に分けて専用倉庫へと運びました。
2.
解体
倉庫にて、隣接する福祉施設との協力のもと、ファスナーやボタンなどを取り外す作業が行われました。このプロセスでは、一つ一つのパーツが大切に作業されました。
3.
粉砕
取り外されたパーツを分離した後、布地を細かく粉砕し、リサイクル素材化しました。
4.
成型
粉砕された繊維は、PANECO®ボードやマテリアルブロック「Nunock」として成型され、多様なサステナブル素材へと再生されました。
5.
製品化・社内活用
新しい素材は、壁掛け時計やコースター、紹介パネル、可動式ベンチへと姿を変え、リガクの社内で実際に使用されています。
新たな価値のある製品たち
アップサイクルされた製品は、それぞれ独自の特徴を持っています。壁掛け時計は、各制服の違いが表現され、同様のものは二つとないアート作品となりました。コースターは大理石のような色合いを持ち、日常の中で特別な存在感を放っています。紹介パネルは、再生の理念を展示するツールとしても機能し、海外からの訪問者にも理解されるよう設計されています。可動式ベンチは、実用性を兼ね備えたインパクトある見た目が特徴です。
福祉との連携
このプロジェクトでは、繊維の再生作業の一部を福祉施設に委託し、就労機会の提供にも寄与しました。PANECO®は、福祉との連携をアップサイクルプロセスに取り入れることで、地域に貢献し、持続可能な社会の実現に向けた新たな取り組みを進めています。
最後に
リガクのプロジェクトは、ただの素材ではなく、循環や共感を生む持続可能な仕組みを推進しています。このような取り組みが、企業が抱える廃棄物の問題を解決し、今後の社会における新たな選択肢となることを期待しています。
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