デジタルリスクに対する企業の危機意識とその現状分析
インフォシールド合同会社が実施した調査によると、現代の企業はデジタルリスクに大きな危機感を抱いていることが明らかになりました。特にフィッシング詐欺や情報漏洩といった脅威が企業活動に与える影響を考えると、その重要性は自明と言えます。
調査概要
この調査は2025年の6月10日から11日にかけて行われ、対象は企業で情報システムや広報、法務、カスタマーサポートを担当する人々です。収集されたサンプル数は1,039人で、デジタルリスクに関する意識と対策が重点テーマです。
危機感の高さ
調査の結果、企業に働く約90%の人々が、自らの勤務先においてデジタルリスクへの強い危機感を持っていることが分かりました。具体的には、37.7%が「非常に強い危機感を抱いている」とし、51.2%が「ある程度の危機感を抱いている」と回答しています。
特に注目すべきは、デジタルリスクの具体的な内容に関する認識です。最も高い割合を占めたのはフィッシングサイトや偽ドメインの拡散で49.8%、次いでダークウェブ上での情報漏洩が38.9%、SNS上のなりすましアカウントが37.0%でした。これにより、企業活動における外的な脅威に対する警戒感が非常に高いことが浮き彫りになりました。
被害経験の実態
次に、勤務先がデジタルリスクによる被害を受けた経験があるかについての質問には、56.5%の人が「はい」と回答しました。この回答者に、具体的な被害内容を尋ねたところ、最も多かったのは「SNS上のなりすましアカウント」(36.3%)、続いて「フィッシングサイトや偽ドメインの拡散」(34.4%)、ダークウェブ上での情報漏洩が31.5%となりました。
この結果から、多くの企業が実際にデジタルリスクによる被害を受けていることが明らかとなり、特に信頼性を損なう偽装行為が多いことがわかります。
対策の実施状況
デジタルリスクに対する対策の実施状況について尋ねると、被害を受けたことのある企業の95.4%が何らかの対策を講じている一方で、被害を経験していない企業では75.7%のみが対策を実施しているとのことです。この結果から、企業は実際の脅威を経験することで防止策を強化する傾向にあることが伺えます。
しかし、対策を講じていない理由として多かったのは「自社のデジタルリスクが把握できていない」(23.4%)というもので、これが対策を滞らせる要因であることも指摘されています。
先手の対策の重要性
最近注目を集めているのはDigital Risk Protection(DRP)です。これは、企業になりすました偽サイトや情報流出の脅威を常に監視するもので、問題が発生する前に対策を講じることが可能です。
例えば、偽ドメインの検知や削除の要請、ダークウェブ環境での情報流出の監視を行い、潜在的な危険を未然に防ぐ体制を整えます。これにより、企業は「問題が起きてから動く」のではなく、「被害を広げる前に止める」ことができるようになります。
心理的効果と組織的メリット
デジタルリスク対策を実施することで得られる期待される効果には、「万が一の備えができた」(41.7%)、「社内の意識や行動が変わった」(35.9%)、「安心感がある」(32.2%)といったものがあります。これは、単なるテクノロジーの活用にとどまらず、組織全体の危機管理意識の向上にも寄与することを示しています。
結論
デジタルリスクにおける危機意識が広がる中、企業はリスクに対する真摯な姿勢を求められています。対策が進んでいる企業であっても、まだまだ「見えない」外部リスクへの備えが疎かである現状があります。今後も引き続き、デジタルリスクに対する効果的な対策を進めていくことが求められるでしょう。リスクをただ管理するのではなく、信用を守るという視点が今の経営には不可欠です。