ゴム内部構造の可視化
2025-07-23 14:08:21

住友ゴムと京都大学が三次元可視化でタイヤ性能を革新

住友ゴム工業株式会社(社長:山本悟)は、京都大学の化学研究所に所属する小川紘樹准教授と手を組み、ゴムの内部構造を三次元的に可視化することに成功しました。この取り組みは、ゴムの破壊に関連する内部構造の分布の違いを捉え、タイヤの耐摩耗性能を向上させるための基盤技術を提供します。これまで、ゴムが変形する際にどの部分で破壊が始まるのか、その原因となる内部構造については十分に理解されていませんでしたが、今回の成果により新たな視点が得られました。

特に、ゴムが変形して破壊が起こる際には、ポリマーとシリカが特異な配列に変化することが分かりました。この知見は、ゴム材料の改善や新しいタイヤの開発において重要な意味を持ちます。住友ゴムは既に大型放射光研究施設「SPring-8」を利用して、タイヤゴムの内部構造を詳細に解析しており、その結果、低燃費エンジンに対応した高性能なタイヤ素材を開発しています。

新たな三次元計測手法は、従来のX線技術では捉えられなかったゴムの内部構造の詳細を明らかにすることができ、 ゴムの変形に伴う破壊のメカニズムについてより具体的な情報を提供します。具体的には、小川准教授が開発した「小角X線散乱コンピュータトモグラフィー(SAXS-CT)」法を用い、物質内の材料配置とその密度を同時に確認可能です。この成果は、タイヤ素材の新たな開発方法を示しており、安全性や環境負荷を低減する可能性が高まっています。

さらに、EV市場の拡大に伴い、車両の重量が増す中で、長持ちするタイヤに対するニーズが高まっています。また、住友ゴムは「R.I.S.E. 2035」という長期経営戦略を掲げており、こうした研究成果を基に、次世代ゴム技術の開発を進めつつ、持続可能な社会に貢献していく意向が示されています。この研究は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が支援するプロジェクトの一環として進められており、最先端の科学技術が産業界にどのように応用されるかを具現化する良い例となるでしょう。今回の研究成果は、国際学術誌「Small Structures」にも掲載され、学術界からも注目されています。

全体として、住友ゴムと京都大学の共同研究は、タイヤ業界における革新を促進し、消費者にとっても安全で持続可能な製品の提供を実現するための一歩を踏み出しました。今後の展開に期待が高まります。


画像1

画像2

画像3

画像4

会社情報

会社名
住友ゴム工業
住所
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。