アセットマネジメントの新基準が発行
一般財団法人日本規格協会(東京都港区、理事長:朝日弘)は、2025年9月25日、アセットマネジメントに関する新たな日本産業規格(JIS Q 55000シリーズ)を発行することを発表しました。これは、国内のインフラ老朽化や災害リスクの増加といった問題に対応し、グローバルなアセットマネジメントの流れに合致することを目的としています。
アセットマネジメントとは
「アセットマネジメント」とは、企業や組織が保有するすべての資産(アセット)の価値を最大化するための管理手法であり、物理的な資産に加えて、ソフトウェアや特許、さらに人材といった無形の資産も含まれます。この規格によって、組織としてのアセットマネジメントの実施が標準化され、社会全体のレジリエンスを強化することが期待されています。
改正の背景
2014年1月に発行された国際規格ISO 55000シリーズは、アセットマネジメント分野のグローバルスタンダードとなっていますが、日本の国内状況を考慮し、特に公共施設の老朽化や自然災害への対応が急務隂理となっている中、効率的な資産管理が求められています。今回の改正では、過去10年間の運用実績と課題を反映し、アセットマネジメントの重要性がより一層強調されています。
主な改正ポイント
1. 統一された意思決定フレームワークの構築
新しい規格では、組織全体で統一された意思決定のフレームワークを確立することの重要性が示されています。これにより、アセットの価値を従来以上に継続的に高められるようになります。
2. リスクと機会の区別
リスクと機会を明確に区別し、組織の成長に繋がる計画が重視されています。特に、戦略的アセットマネジメント計画(SAMP)への明確な指針が示され、組織の目標達成に役立つことが期待されています。
3. ナレッジとデータ管理
アセットマネジメントに必要なナレッジを特定し、意思決定をサポートするためにデータの一貫性ある管理が求められるようになりました。これにより、たとえ異なる部門でも、共通したデータを基にした意思決定が可能になります。
4. ライフサイクル全体を視野に
資産のライフサイクル全体を考慮した運用が強調され、新たに導入された「予測行動」によって、保全活動が事後処理から予防的なものにシフトすることが求められています。さらに、これにより事故を防ぎ、災害リスクを減少させるための基盤が整えられています。
今後の展望
日本社会においてアセットマネジメントの重要性が増す中、今回の改正により、アセットのライフサイクルに配慮した運用が進んでいくことが期待されます。社会全体のレジリエンス向上や競争力の強化に寄与するため、官民連携(PPP/PFIなど)をおさえた広範な組織へとその実施が拡がることでしょう。
新しいアセットマネジメント規格は、資産を価値に変換するための知恵や工夫を提供する重要なビジョンとなるでしょう。企業はこの変化の中でいかに適応し成長していくのかが、今後の課題と言えます。