IHIがルーマニアの小型モジュール原子炉プロジェクトを受注
IHIは、このたび米国NuScale社が技術を提供する小型モジュール原子炉(SMR)の建設プロジェクトにおいて、鋼製モジュールのモックアップ製作を受注しました。プロジェクトはルーマニア南部のドイチェスティで進行中で、現在、FEED Phase 2として基本設計を行っており、Samsung C&Tが主導する原子炉建屋の製作に必要なモックアップを提供することになります。
このプロジェクトは、RoPower社が中心となり、NuScale社、Fluor社、Sargent & Lundy社、Samsung C&Tが協力して推進しています。IHIは、これまでも海外向けの加圧水型(PWR)原子力プラント向けに鋼製モジュールの供給実績があり、今回のモックアップ製作によってSamsung C&Tの工期を短縮することが期待されています。
モックアップは、IHIの横浜工場で製作され、2025年4月までに完成する予定です。この工程を通じて、原子炉の建設工事が円滑に進むことが期待されています。特に、FEED Phase 2では、モックアップを実際に製作することでプロジェクトのコストや工期の見積もりが精査され、さらなる投資安全性の向上にも寄与します。
IHIは2021年度にNuScale社に出資し、これを契機にSMRの実現に向けた技術開発にも力を入れています。長年の原子炉の主要容器類の製作経験を活かし、カーボンニュートラルな社会を実現するための取り組みを進めていく方針です。また、原子力発電プラント事業を通じて、持続可能なエネルギー供給の実現に寄与することを目指しています。
プロジェクトの意義
このプロジェクトは、ルーマニア国内でニュースケール社製の「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を建設するために、国営のNuclearelectrica社及び民間エネルギー企業Nova Power & Gas S.R.Lが設立したRoPower社によって推進されています。SMRは小型で効率的な原子力発電のモデルとして、新たなクリーンエネルギー供給の在り方を示すものとされています。
また、持続可能な社会の実現には、エネルギーの脱炭素化が欠かせません。その中で、小型モジュール原子炉は、運用コストが低く、安全性が高いとされるため、将来のエネルギー供給において重要な役割を果たすことが期待されています。IHIはこの分野でのリーダーシップを発揮し、さらなる技術革新を追求していきます。
まとめ
IHIの今回の受注は、カーボンニュートラルな社会への貢献を目指す重要な一歩であり、ルーマニアにおけるエネルギー供給の新たな契機となることでしょう。これからの動向にも注目が集まります。