群馬県上野村で冬を楽しむ新しい地域交流ツアーの試み

冬の地域交流ツアー「村の暮らしにふれる旅」

2025年12月20日から21日、群馬県上野村で開催される地域交流ツアー「村の暮らしにふれる・親子でクリスマスツアー」が注目を集めています。この取り組みは、人口減少や冬の閑散期という二重の課題に対して地域住民と外部からの訪問者が交流し、新たな関係人口を育成することを目的としています。

上野村の現状と課題

上野村は、南西部に位置する自然豊かな山あいの村です。森林占有率は約95％で、多くの自然資源を抱えています。しかし、人口は昭和40年代の約4,000人から、2025年には1,000人を下回る見込みです。特に高齢化が進行しており、65歳以上が全体の約45％を占めるため、地域の持続可能性が問われています。

村の関係者は「人口が減少しても、持続可能で豊かな暮らしを実現する」ことを目指しており、昨今は地域文化や観光資源を活用した観光発展を模索しています。しかし、冬季の閑散期において観光客の減少が続いており、道の駅や飲食店、宿泊施設の稼働率が低くなるという問題があったのです。

交流ツアーの特徴

「村の暮らしにふれる旅」では、参加者が地域住民と一緒に料理や手仕事を体験し、山あいの暮らしを深く理解する機会が用意されています。子どもたちは村人の見守りのもと、自ら地元の食材を使って「おつかい」に挑戦し、実際の暮らしを体験します。また、全行程には村で暮らすファミリーが同行し、日常のリアルを共有します。

さらに、旅の前後にオンラインで事前交流を行い、SNSグループを通じて参加者同士や村人とのつながりを深めていく仕組みも整えられています。これにより、単発のツアーにとどまらず、再訪や地域に移住するきっかけが生まれることが期待されています。

受け入れモデルと地域協力

地域振興を図る上で、株式会社おりおりは高崎駅からの無料送迎バスを運行し、車を持たない家庭でも参加しやすい環境を整えています。また、地域の飲食施設ではファミリー向けの特別メニューを提供するなど、冬季でも受け入れが可能な体制を構築しています。これにより、参加者だけでなく、地域全体が協力して冬を楽しむ環境が整っています。

これまでの実績と参加者の声

おりおりと一般社団法人上野村産業情報センターは、2024年から上野村で連携事業をスタートし、これまでに冬季を中心に4回のツアーを開催しています。のべ70名が参加し、13名が再訪したとのことです。参加者同士や村人との絆がSNSで結ばれ、「またこの村に来たい」といった声が多く寄せられています。このように、冬でも人々を受け入れられる環境が整いつつあります。

上野村では、参加者と地元の人々が名前を呼び合う関係が築かれ、地域間での交流が深まっていることが実感されています。今後は、地域住民が主体となった運営体制を整え、さらなる発展を目指す取り組みが続けられます。