新国立劇場での日韓合同公演『焼肉ドラゴン』再演決定
新国立劇場は2025年に、日韓国交正常化60周年を記念した合同公演『焼肉ドラゴン』を上演することが発表されました。この作品は、2008年に鄭義信によって書き下ろされ、以来何度も再演されてきました。初演から大きな反響を呼んでおり、特に東京とソウルでの公演ではスタンディング・オベーションを受けるほどの人気を誇ります。
焼肉ドラゴンとは?
『焼肉ドラゴン』は、1970年前後の関西地方を舞台にした物語で、在日コリアン一家の生活を描いています。万博が開催される中での彼らの日常を通じて、日韓の歴史や文化の交わりをユーモラスかつ切なく表現しています。具体的には、焼肉屋「焼肉ドラゴン」に集まる様々な人々とのやり取りを通じて、家族の絆や社会の厳しさを描写。これにより、観客は感情豊かな体験を味わうことができます。
2025年の公演概要
公演は2025年10月から12月にかけて行われ、最大で12月28日までの全国公演も視野に入れています。会場は新国立劇場小劇場を予定しており、芸術監督の小川絵梨子が携わります。
今回の再演は日韓両国の演技者を招く形で行われ、文化の交流を促進することを目的としています。そんな中、作品の中心となる「金 時生」役の公募オーディションも行われます。
オーディションの詳細
オーディションでは、金時生役を務める男性1名を募集します。応募条件は、15歳の在日コリアン二世で、異母姉二人と異父姉一人を持つ家族の末っ子としての役柄。父親の教育方針により私立中学校に通っていますが、いじめにより心に傷を負っている難しいキャラクターです。また、募集期間は2024年9月2日から11日までで、オンライン受付を行います。
鄭義信のメッセージ
作品を手がける鄭義信氏は、「オーディションが嫌いだ」と正直に語り、自分の才能や個性が評価されることに対する不安を共有しました。しかし彼が求めるのは、技術的な演技力ではなく、物語の中で家族の浮沈を静かに見守ることができる存在感。それこそが『焼肉ドラゴン』にとって真に重要な要素であるという、彼の信念を表現しています。
新国立劇場の役割
新国立劇場は、オペラ、バレエ、ダンス、演劇といった多様な舞台芸術の発信地として、1997年に設立されました。年間約250ステージの主催公演を行い、若手アーティストの育成にも力を入れています。この場所で『焼肉ドラゴン』が再演されることは、次世代への大きな影響を与えることでしょう。
2025年の再演が待ち遠しい『焼肉ドラゴン』、キャストのオーディションも進められるこの機会をお見逃しなく!