木更津高専「高専キャリアラボ」第10回講演会の魅力に迫る
千葉県木更津市にある木更津工業高等専門学校(以下、木更津高専)では、令和7年8月4日に「高専キャリアラボ」の第10回講演会が開催されました。このプログラムは、学生のキャリア形成を支援するための特別な学びの場として設けられ、多くの企業の経営者が講師として参加しています。今回で第4回目の講演となります。
様々な業界の成功者から学ぶ貴重な機会
木更津高専は、学生たちが実社会で活躍するためのスキルや知識を身につけることを目指しています。このため、「高専キャリアラボ」では、経済同友会の会員である企業経営者を招聘し、彼らの経験や知識を学生たちに伝える重要な役割を担っています。今年度の講演は全5回が予定されており、学生たちは多様な視点からの学びを得られる機会を持っています。
桜井伝治氏の講演内容
今回の講師は、日本情報通信株式会社(NI+C)の代表取締役社長執行役員である桜井伝治氏。彼は法学部出身で、プログラミング未経験から通信業界に足を踏み入れ、長年にわたり数々の業務をこなしてきました。彼の講演テーマは「自分にとって働くとは?」でした。桜井氏は、幾度もの挫折を経てもなお前向きに挑戦を続ける姿勢を持ち続けています。その言葉は学生たちにとって大きな刺激となったことでしょう。
挑戦する勇気を求めて
講演は、桜井氏が出題した面白いクイズからスタートしました。それは、60代の男性がインべーダーゲームを作成するのにどのくらいの時間がかかるかというもので、彼の答えは「AIを使えば10分で完成する」というものでした。この言葉は、技術の進化を実感させ、学生たちの「働くこと」への意識を高めるきっかけとなりました。
次に进行された自己分析ワークでは、「できること(CAN)×やりたいこと(WANT)×なすべきこと(SHOULD)」のフレームワークを基に、自身の強みや興味を深める作業が行われました。多くの学生が自分の能力に自信を持ち、前向きな意見を交わしていました。
成長のための考え方
桜井氏は、京セラやKDDIの創業者である稲盛和夫氏の言葉を引用し、「人生・仕事の結果は能力×熱意×考え方」という方程式を紹介しました。特に「考え方」の重要性を強調し、正義感や思いやり、他者への利他の心がキャリア形成において必要不可欠であると述べました。
また、生成AIを用いたプロジェクト「NICMA」の開発についても触れ、AIがもたらす業務の効率化と新たな戦略への可能性を解説しました。今後を担う学生たちにとって、大変に貴重な内容となりました。
学歴に囚われないキャリアの新常識
桜井氏は「学歴と業績評価には相関がない」とし、資格取得や職場選びの重要性を語りつつ、学生たちに向けて「成長には人それぞれのタイミングがある」と優しくメッセージを届けました。「今できることをやってみて、なりたい姿を考える」という言葉は、多くの学生に勇気を与えたことでしょう。
質疑応答セッションでは、語学力や自己啓発の重要性について質問が殺到しました。桜井氏は、質の高いアウトプットを実現するためには、質の高いインプットが必要であると述べ、読書を習慣化することを推奨しました。これからの夏休みにて学生たちがどう学びを深めるかが期待されます。
木更津工業高等専門学校は、1967年に設立された国立の高等専門学校で、58年の歴史を持つ同校は、創造的エンジニアとしての能力を育成することを理念にしています。幅広い教養や国際的な視野、判断力、創造力、実行力の三つの軸で発展を図り、社会に貢献する人材を育成しています。