北國銀行とAuthleteの連携
石川県金沢市に本社を置く株式会社北國銀行は、株式会社Authleteを通じて、次世代の金融サービスを提供するための基盤を整えています。特に注目すべきは、銀行業務をより効率的に進めるためのBaaS(Banking as a Service)事業の開始です。本プロジェクトでは、高度なAPIセキュリティを実現するために国際標準仕様である「FAPI」を導入しました。
1. 導入背景と目的
この取り組みは、北國銀行が2023年1月にスタートした次世代地域デジタルプラットフォーム構築プロジェクトの一環です。銀行経営の効率化を図る中で、APIを介した銀行機能の提供を目指し、フィンテック企業など様々な外部企業が自社のサービスに銀行機能を組み込むことを可能にします。2024年7月に同サービスの立ち上げを予定しており、口座開設や振込、照会、認証機能を順次リリースしていく計画です。
2. 課題と解決策
北國銀行は従来のシステムのモダナイゼーションを行い、アジャイル開発を取り入れることで、高い利便性を追求しています。しかし、必要な専門知識が不足している部分については、外部パートナーとの共同作業を通じてプロダクトの早期リリースを目指しています。特に金融業界では高いセキュリティが求められるため、FAPIの実装は避けて通れない課題でした。そこで北國銀行は、多くの国内外のデジタル銀行での導入実績を持つAuthleteを採用しました。
3. FAPI導入の意義と期待
北國銀行の執行役員である新谷敦志氏は、FAPIは国内外で広く普及しており、フィンテック企業を含む様々な事業者がBaaSを活用するためには、FAPIの導入が必須であるとの見解を示しました。同氏は、Authleteの選択により、実装が簡略化され、BaaS基盤が迅速にリリースできる点を高く評価しています。今後は、AuthleteのFAPI実装を活用し、サービスの向上に努める意向です。
4. Authleteの特徴と利点
Authleteは、OAuth 2.0およびOpenID Connectに基づくAPIセキュリティに特化したバックエンドサービスです。開発者は任意の言語やフレームワークを使用でき、既存のアプリケーションやユーザー認証ともスムーズに統合できます。最新版のAuthlete 3.0では、非否認性を実現するためのFAPI 2.0 Message Signingも搭載し、ユーザーにとっても安全性が高いサービスを提供します。
5. 期待される効果
Authleteの導入は、信頼性の高いサービス提供や、北國銀行の次世代地域デジタルプラットフォームプロジェクトの進展を後押しするものと期待されます。Authleteの川崎貴彦代表取締役は、今回の連携が日本の金融業界における新たな一歩であり、今後も高いセキュリティ基準に基づくサービス提供を継続したいと述べています。当行が目指すBaaS事業により、地域に根ざした金融サービスの向上が期待されます。
企業間の連携が進む現代、北國銀行とAuthleteの戦略的なパートナーシップは、将来の金融サービスのあり方を変革する可能性を秘めています。多様なニーズに応えるBaaS事業は、銀行業務の新しい章を開くことになるでしょう。