ジェーン・スーが綴る父との五年間
2023年8月20日、ジェーン・スーさんの最新著書『介護未満の父に起きたこと』が出版されました。この本は、82歳の父親の介護前夜を描いた感動的な記録です。5年前、ジェーンは不可避の事情で、ひとりで生活を支える父と向き合うことになったのです。
父の生活の変化
5年前、突如としてひとり暮らしを始めた82歳の父。彼は心身ともに健康ではありますが、家事がほとんどできない‘‘昭和の男’’。日を追うごとに、彼の生活の中で‘‘できないこと’’が増加し、ついには次々と問題が発生します。彼は「ペットボトルが開けられない」「明日の予定がわからない」など、日常生活においてさまざまな課題に直面しました。
ビジネスライクなサポート
娘であるジェーンさんは、唯一の家族として父の生活を支えることを決意しますが、その方法は徹底的にビジネスライク。毎食の手配から大掃除まで、全てを自ら行い、父の生活を少しでも安定させるための努力を続けました。家族の絆を大切にしながらも、時にウンザリする状況が続く中で彼女はさまざまな試行錯誤を重ねます。合言葉は「喧嘩しない」。その思いを胸に、家族として、そしてサポーターとしてどのように父と向き合うのかが綴られます。
誰もが通る道
ジェーンさんは本書を通じて、誰もが ‘‘突然要介護’’ になるわけではないことを語ります。介護未満の状態で、どのようにサポートを行い、心構えを整えるのか。彼女の体験からは、家族としての愛情と、時に苦悩が生々しく表現され、同じ問題に直面している人々へのメッセージとなっています。
最後に
思いやりのあるサポートとは何か、どうすれば良いのか。『介護未満の父に起きたこと』は、日常生活の中での小さな瞬間を通じて、そのエッセンスを教えてくれる一冊です。読者は父と娘の関係を共感しつつ、介護にまつわるさまざまなテーマに思いを馳せることができるでしょう。
著者プロフィール
ジェーン・スーさんは1973年に東京で生まれたコラムニストであり、ラジオパーソナリティとしても活躍しています。彼女は自身の経験をもとに、多くの書籍を執筆してきました。彼女の言葉には、家族の絆や人間関係の複雑さが巧みに表現されています。本書を通じて、介護における現実を知ることができる一方で、あたたかい人間ドラマを楽しむこともできるでしょう。
新書として手に取りやすいサイズ、定価990円(税込)とのこと。ぜひお手に取って、その内容をじっくり味わってみてはいかがでしょうか。