大阪万博での特別展示「HOTABENCH」
大阪・関西万博が2025年に開催される中、注目を集めるべきプロジェクトがある。それが、ホタテ貝の形をモチーフにしたサステナブルなベンチ「HOTABENCH」である。これは、清水建設株式会社と甲子化学工業株式会社が共同開発したもので、廃棄されたホタテ貝殻を再利用した素材を使用。新たに蘇らせたこのベンチは、安らげる空間として来場者の心を癒やす役割を果たす。
開発の背景と目的
大阪市に位置する甲子化学工業は、これまでホタテ貝殻の再利用プロジェクト「ホタメット」や「ホタテトラポッド」などを手掛けてきた。今回の「HOTABENCH」は、万博をきっかけに多くの人に廃棄貝殻の現状を知ってもらうことを目的としている。従来であれば廃棄されていた貝殻に新しい命を吹き込むことで、リサイクルへの意識を高めた。
特徴と環境への影響
「HOTABENCH」には、約1,000枚の廃棄されるホタテ貝殻が必要とされ、1台のベンチには40kgもの貝殻が使用されている。その結果、コンクリートを100%使用した場合と比べ、約300kgのCO2削減に成功している。また、型枠を使用せず、3Dプリンターによって製造されているため、余分なCO2を排出せずに済む。
デザイン面でも工夫がされており、貝殻本来の特性を生かした構造が採用されている。バイオミミクリーの考え方に基づき、自然界のホタテの形状を模したリブ構造が特徴的で、製造プロセスで生じる「積層痕」をそのまま残すことで、自然な風合いを大切にしている。
体験型ツアーの開催
このホタテ貝のベンチに関連して、製造プロセスの体験ツアーも開催予定である。東京と大阪で、清水建設のイノベーション施設やホタテの産地を巡り、実際にモノづくりを体験できる機会が提供される。参加者は、このアップサイクルの魅力を実際に体感できるほか、環境保護に関する理解も深まることであろう。
プロジェクトの今後の展開
プロジェクトメンバーはこの取り組みを通じて、地域と環境の未来に寄与することを目指している。清水建設の小川達也氏は、HOTABENCHが新たなデザインの可能性を開き、持続可能な未来に繋がることを期待している。また、甲子化学工業の南原徹也氏は、最新技術と廃棄物を組合わせることで、未来の社会を支える素材として新たな可能性を広げようとしている。
万博の開催情報
このHOTABENCHは2025年4月13日から約6ヶ月間、大阪・関西万博の「フューチャーライフビレッジ」エリアで展示される予定だ。万博という国際的な舞台で、環境問題への解決策を示す一役を担うことは、プロジェクトチームにとっても大きな意義を持つ。
このように、「HOTABENCH」は単なるベンチに留まらず、環境に優しい持続可能な未来を構築するための新たな素材とアイデアを提供している。ぜひ2025年の万博で、その目で確かめてほしい。未来へ繋がる新しい挑戦が、あなたを待っているかもしれない。