WWFジャパン、海中から巨大なゴーストギアを回収
2025年7月10日、公益財団法人WWFジャパンが長崎県五島市多々良島付近で、漁業系プラスチックごみの一種であるゴーストギアの回収作業を行いました。地元の漁業関係者やダイバー、五島市の協力を得て実施されたこの活動では、縦約3メートル、幅約1メートルの巨大な塊が海から引き上げられました。
ゴーストギアとは
ゴーストギアとは、漁業用のプラスチックごみで、放棄された漁網や器具によって形成されるものです。海洋プラスチックごみの約1割を占めると言われており、漁業資源や海洋生態系に悪影響を及ぼすだけでなく、船の航行にも危険をもたらします。
回収作業の詳細
このゴーストギアは、漁網にロープや生活ごみが絡まり、さらにはサンゴや藻類、カイメンなどが付着している状態で見つかりました。回収作業は、まず目の細かい網でゴーストギアを包み、ユニック船を使って引き上げました。上部には浮子が付いていて浮力があったことが幸いし、引き上げは成功しましたが、その過程では多くの困難が伴いました。
地元の反響と今後の計画
地元の漁業関係者やダイバーには数年前からこのゴーストギアの存在が知られており、その回収の難しさからこれまで放置されていました。今回の活動は、ゴーストギアの実態を把握し、海洋汚染解決に向けた重要なステップとなったと考えられています。また、WWFジャパンは今後、回収したゴーストギアの洗浄と分別を進め、その由来や状況を詳しく調査する予定です。
ゴーストギア調査隊の活動
WWFジャパンの「ゴーストギア調査隊」は、全国7ヵ所で調査を行うプロジェクトです。このプロジェクトでは自治体や漁業者と密に連携し、潜水調査を通じてゴーストギアの特性や影響を確認していきます。調査を進めることで、ゴーストギアの問題解決に向けた新たな提案を行い、水産業の持続可能性を高めることが期待されています。
専門家の評価
WWFジャパンの自然保護室海洋水産グループのヤップ・ミンリー専門オフィサーは、「日本近海の異なる7海域で調査を進めており、今後の調査が新たな知見をもたらすことを期待しています」と指摘しています。このプロジェクトは、海洋生態系に与える悪影響を軽減し、持続可能な漁業の実現を目指しています。
まとめ
今回のゴーストギア回収作業は、生態系の保護や地域経済、観光産業にとって非常に重要なものでした。WWFジャパンの活動は、ゴーストギアという深刻な問題に光を当てるもので、今後も地域と連携しながら持続可能な方法を模索していく必要があります。地元の声を反映しながら、この問題に対するさらなる制度整備や解決策が求められています。