熊との共生を目指す新たな探求の旅、八雲町での3日間
2026年2月2日から4日、北海道八雲町にて「ヒグマからの恩恵を受け取ってきた町で、熊と生きる社会を再設計するリジェネラティブツアー」が開催されました。このイベントは北海道南部の観光団体であるDiscover Southern Hokkaidoとbirch株式会社の共同企画で、多彩な参加者が集まり、熊との共生について考える3日間を共有しました。
「過去」を紐解く:木彫り熊の歴史
初日の活動では、八雲町郷土資料館を訪れ、地元の学芸員から熊にまつわる歴史や文化についての講義を受けました。特に注目されたのは、八雲町の名産である木彫り熊の起源です。この木彫り熊はかつての領主、徳川義親が推奨した熊狩りと深く結びついており、単なる工芸品としてだけではなく、厳しい開拓期における人間と自然の「共生」の象徴でもあります。
参加者は「ただの工芸品だと思っていた木彫り熊が、今は共生の在り方を考えるシンボルに見える」と語り、木彫り熊を通しての熊とのつながりを強く感じました。
「現在」を体感する:雪上に刻まれた、野生の鼓動
2日目にはスノーシューを履いて冬の山に入ります。現役の猟師や自然活動家と共に静寂な森の中を探索し、熊の野生の気配を感じました。参加者たちは、雪の上に残された爪跡や熊の通り道を観察し、自然とどのように向き合うかを考える貴重な体験をしました。
ここで感じたのは、自分たちが自然の一部であり同時に「よそ者」であるということ。野生の中での尊厳と葛藤が一体となる瞬間でした。
「未来」を再設計する:答えのない問いに向き合う夜
旅の最終夜、参加者たちは、普段から熊と向き合っている生産者や観光業者、猟師とのトークセッションを行いました。日本各地で挙げられるヒグマの出没の増加や、その対策について熱い議論が交わされました。それぞれの立場からの意見は異なりますが、「共生」というテーマは全ての参加者に共通の課題として語られました。
参加者たちはこの時間を通じて、「共生」とはただの言葉ではないこと、痛みや責任を伴う現実的な課題であることを再認識しました。
滞在の舞台:対話が生まれる「ペコレラ学舎」
今回のツアーの拠点となった「ペコレラ学舎」は、廃校をリノベーションした施設で、多様なバックグラウンドを持つ参加者たちが国籍を超えて「命」について語り合う充実した時間を提供しました。この空間は、自然との共生のあり方を考える場として理想的でした。
あとがき
旅を終えた参加者の一人は、「自然の在り方には正解はない。人間だけの都合で決めるのはおごがましい」と語り、今回の経験がどれほど深い洞察を与えたかを物語っています。八雲町は今後もヒグマという偉大な隣人と共に生きる道を模索していきます。
新たに芽生えた対話の種が、今後どのような形で「新しい共生」を導くのか、その過程を見守りたいと思います。今回は北海道観光機構の支援を受けて実施された本事業の更なる展開も期待されます。次回のツアーは2026年の6月や10月にも検討されているとのことです。